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今は雇用率15%の弊社が障害者雇用を進めるためにはじめたこと

法定雇用率を満たすために仕方なく本当は不要な仕事を作って障害者を雇用するのではなく、会社の戦力として障害者を雇用する。
そんなことが可能であることを師匠:エフピコさんは示してくれました。

その師匠に弟子入り志願するも、最初は難色を示されていました。(というかはっきりとお断りされました)しかし、何度もお願いするうちに師匠は根負けし、当社の障害者雇用をお手伝い頂けることになりました。2014年のことです。

では具体的に何からはじめたら良いのか?
障害者を雇用するといっても、これまで積極的に障害者と関わったことすらあまりない私たちです。

そんな私たちに師匠はおっしゃいました。
「これから主体的に障害者雇用に関わる社員を、ウチに1ヶ月間寄越しなさい。色々教え込むから」

1ヶ月間の修行


ということで3名を選抜し、師匠の元へ1ヶ月間派遣することになりました。

このとき3人を社員の中から選抜するに当たり、気をつけたことがあります。それは、派遣する社員が、障害者雇用推進を担当することを「ハズレくじ」とか「左遷」だと捉えないようにすることです。

これはとても重要です。経営者である私自身、障害者雇用推進は今後の人手不足に対する重要な打ち手だと考えています。しかし、担当者が業務を「ハズレくじ」と考えてしまうと、ゼロから業務を立ち上げるという難題をクリアすることなどできません。

ですから、時間をかけて考えを伝えるようにしました。
私たちの主力事業である施設管理、その中でも大きな清掃サービスは、より深刻な人手不足に陥っていくことは間違いないこと。障害者雇用推進が、その問題に対しての重要な打ち手であること。だから、障害者雇用推進業務を担当することは「ハズレくじ」などではなく、むしろ大きな「当たりくじ」であること。

納得してくれたと思います。
3人とも1ヶ月間よく頑張ってくれました。様々な知見、経験を得て帰ってきました。

「社長、かなり時間かかりますよ」


帰ってきた社員たちが話してくれたのは、「社長、かなり時間かかりますよ」ということでした。

知的障害者、発達障害者に技能習得させ戦力化するためには、作業内容を何度も反復練習させて指導する必要があること、その育成期間は最短でも1年間、平均2~3年間はかかると報告されました。清掃という業務には、多様な状況に対して臨機応変に対応することが求められます。そうしたことを勘案すると、それ以上の期間がかかってしまうかもしれないとも。

しかし、こうした長期間に渡る育成費用を当社が負担することは、事業の収益性から判断して不可能です。もっと短期間で育成したいけれど、そんな中途半端な状態で雇用を進めると離職に繋がりやすいでしょう。

困ってしまいました。

「A型をつくりなさい」


そんな弟子に対しての師匠のお言葉は「A型をつくりなさい」。
「A型ってなんですか?」そう疑問を口にする私に対して師匠は、就労継続支援A型事業所というものを説明してくれました。

就労継続支援A型事業所とは、障害者総合支援法により規定されたものです。一般就労することが困難な障害者と雇用契約を締結した上で技能習得のための訓練を行うもので、その訓練費用は国・地方自治体から事業者に支払われます。
つまり、この制度を活用することで、当社の育成費用負担が大幅に減少するということなんですね。

「すごい!そんな制度があるなんて!」
この制度を利用すれば、すぐに一般就労することは困難な障害者を就労継続支援A型事業所で、訓練費用を補助として受けながら2~3年間育成し、戦力化するというスキームができます。

「けどな、この制度はずっと使ったらアカンで」


喜ぶ私たちに師匠はこうも言って釘を差しました。就労継続支援A型事業所という制度を使い続けてはならない。
師匠のおっしゃる理由はこうです。

・就労継続支援A型事業所という制度には利用期限の定めがない。
・期限がないから、戦力化できた障害者をA型事業所でずっと働いてもらっても法的には問題はない。(訓練費用がずっと支給されるから、企業の収益的にはずっとA型事業所で働いてもらった方がよい)
・しかし、これはあくまでも「すぐに一般就労することが困難な障害者」のための制度である。多額の税金が投入されているのは、障害者を戦力化し稼げるようにするためだ。(結果として社会保障費を削減できる)
・だから、戦力化できたら速やかにA型事業所ではなく普通に雇用しなさい。(訓練費用をもらうのをやめなさい)

ということで、昨日まで知りもしなかった就労継続支援A型事業所をつくろうとなったのですが、そこにはさらなる難問が待っていました。
(次回へ続きます)

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