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障害者を差別してはいけない5つの理由

いつもは難聴のことを書いていますが今日は私なりに思う「障害者を差別してはいけない理由」というのを書いてみようと思います。

科学が発展したから

呪いやたたりだと思われていた時代に差別があるのは仕方ありません。
でも現在では科学が発展し多くの障害の原因がわかってきています。
妊娠児のウイルス感染や、発生時の染色体の異常、様々な遺伝、それらを知ってみると自分にも起こる可能性があったことがわかります。
呪いやたたりでしたら本人が悪いことをした結果起こることなので、それを叩く人もなんとか理由付けはできました。
しかし現在ではそれはなくなってしまっており差別をするということは『たまたまうまく行ったときにたまたまうまく行かなかった人を叩く人』という性格に難ありの人物に見えてしまいますので差別はしてはいけません。

遺伝という言葉を知ったから

障害者を遺伝という観点から差別する人もいます。
遺伝は皆が知っている言葉ですが、言葉だけ知っている状態では差別の道具にしかなりません。
すなわち自分は障害がない=障害の遺伝子がない、相手には障害がある=障害の遺伝子がある、となって『障害者は子供を作るな』などと言うことが言えてしまうわけです。
しかし遺伝ということをもう少し知ってみるとそうではないことがわかります。

驚いたことに、遺伝病の原因としてこれまで知られている変異を、誰もが50から100個持っていることが判明しました。

遺伝的多様性 加藤誠志

つまり『障害がない=障害の遺伝子がない』というのは間違いで、誰もが障害の遺伝子を持っており、健常者と障害者を分けるものは発現したか発現しなかったかしかありません。
遺伝子的に見ると障害がある人も障害がない人もさほど違いはありません。
あまり違いがない部分で差別するのはあまり意味がわかりませんので差別してはいけません。

子供が障害児だったり孫が障害児だったりするから

上の2つの理由からもう大体わかって頂けると思いますが、障害というのはいつ誰の元に起こるかわかりません。
今は出生前診断がありますが、それでもわかるのは先天性疾患の1/4だそうです。
そして先天性疾患に含まれない生まれつきの障害もありますし、病気や事故が原因で障害を持つこともあります。
自分は難聴児が生まれてまさにそれを体験した人間なんですけど、その時は1/1000(難聴児が生まれる確率)ってそうそう当たるもんじゃないなと思っていました。
でもそういう確率の障害が結構ゴロゴロあるんですね。
先ほどの引用の続きでこんな話もあります。

もう一つ明らかになったことは、両親が持っていない変異を子供が有しているということ〜中略〜その頻度は一世代あたり50から100個と予想以上に高く、その中の約0.86個は病気を引き起こす可能性のある変異です。

遺伝的多様性 加藤誠志

いわゆる突然変異がすごい頻度で起こっているということになります。
病気を引き起こす可能性のある変異というのが約0.86個ということですが、その病気というのが軽いの重いのか、すぐ発現する顕性遺伝なのかとりあえず発現しない潜性遺伝なのか、それはわかりません。
子供がたくさん欲しいとか孫の顔を見るつもりという人であればあるほど、差別はやめておいて下さい。
自分から先、何代もの間、誰にも障害がないというのはむしろ難しいことです。

少子化が進むから

いくつかの遺伝形式によって特定の家系で起こりやすい障害というのは存在しますが、その他多くの障害は人を選ばずに発現することがわかりました。
そうすると出産というのは全ての人に障害のリスクがあることになります。
障害のリスクというのは障害そのものだけではなく、そこに付いてくる偏見や差別も本人や家族を苦しめます。
そうしたものがなければない方が、障害があったとしても周囲の理解がある環境であれば、出産のリスクというのは少し軽くなります。
今よりも障害者に厳しい国になれば産みにくいですし、障害があっても安心して生きていける国であれば一つ心理的なハードルは下がると思います。
国のために良くないから差別するという風な人もいますが、それは逆効果なんじゃないかと思います。

差別にメリットがないから

私は特に障害がいいとは全く思っていません。
自分の子供も手術をして治るなら積極的にやりたいと思いますし、もし治療薬が出たら早く治療を受けさせたいです。
差別する人も障害が嫌いだと思うので、そういう意味では気持ちは同じではないにしても別に遠くもないかなと思います。
しかし差別自体に障害の発生確率を減らしたり日本人が持っている潜性遺伝の変異の数を減らす効果はありません。
要するに差別に何か意味のあるメリットというのは見当たりません
なので特にする必要はないと思います。

まとめ

以下、5つの理由をまとめます。

  1. 障害の多くは誰にでも起こり得ることがわかっており、障害を本人や家族の資質や行動と結びつけていた時代は終わっている

  2. 遺伝で起こる障害の場合も、障害が発現している人は特別な存在ではなく、そもそも誰もが障害の変異を数多く抱えている

  3. 1と2の理由から先祖や子孫には必ず障害を持つ人がおり、差別が身内の人間や差別をした自分自身を傷つける場合がある

  4. 1と2の理由から差別を受ける障害者家族と出産の可能性のある家族との間に説明できる差はなく、差別意識は出産に関してマイナスの要素になり得る

  5. 1〜4のデメリットに対してメリットがない

2の誰もが障害の変異を数多く抱えているという話に関して、難聴の潜性遺伝の話を細かくしていますのでよかったらそちらも覗いてみて下さい。
ありがとうございました。


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