シビレ

あの娘にナイショのバンドのVo.

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あの娘にナイショのバンドのVo.

最近の記事

Dear Nightmare, sweet memories

首を締め続ければ、酸欠になり落ちるのは当たり前なのに、落ちた途端、背中を叩きまくり、大声で私の名前を呼ぶという馬鹿げた行為で意識を取り戻させようと焦る誰かの愚かな行為も 真っ白な世界から段々と景色がスローモーションで蘇る美しさも 大丈夫か?なんて薄っぺらい馬鹿みたいな気遣いも 怯えた眼差しを隠すために目を伏せ、何に対する謝罪なのかもわからないまま、申し訳ありませんと放つ己の愚かさも 決して助けてはくれない誰かへの落胆も憤りも 全部、全部、五感が鮮々と覚えてる。 私

    • Rose

      大好きな大好きな大好きな彼氏と喧嘩する夢を見た。夢の中でも私は意地っ張りで本心を隠し続けた。 もう会えないかもしれないと思うと苦しくて、いても立ってもいられず、友人と過ごす時間は完全に上の空だった。 彼のために作ったRoseという曲も忘れて日々私は何をしていたんだろうか。彼を見送ったときHave a nice dayときちんとハグをしただろうか。 あの温もりに触れることは、もうないかもしれない。あの匂いに包まれることもないかもしれない。あの笑顔も、困った顔も見ることは叶

      • 眠れぬ夜には、ピーマンを

        逝きたくて、生きたくなくて 生きたくて、逝きたくなくて 壊れた夜 土砂降りの中 傘もささずに 駆けつけた君は 頬を濡らす雫を拭い 困ったような笑顔を浮かべ 「お前は何も悪くない、間違ってないよ。」 そう言って、頭を撫でた。 悔しくて、もどかしくて、 悲しくて、哀しくて 絞り出した声は 雨の音に溶けて消えた 「ちゃんと泣きな」 視線を合わせた君は、やっぱり困った顔をしていて 悔しかった私は 唇を噛み締めながら、コートの裾を握り潰した いつだって笑顔を向けていた

        • 花筏

          それは、恐ろしいくらい優雅な花筏を、冷たい風が攫って行った夜のことだった。 長髪に纏わりついた花弁をひとつふたつ、みっつ、押花にして、栞にしたら母にあげよう。あの人の好きな花はトルコ桔梗だけれど、「理知」というぴったりの花言葉を持った八重桜に感謝の意を込めて「Nem’oubliez pas(私を忘れないで)」と下手くそな文字でレタリングまで完成させた夜だった。 生まれ月に相応しいくらい美しいピンクサファイア。淡い白やピンクもあるのに、あの色が髪に落ちてきたのは、神の思し召

        Dear Nightmare, sweet memories

          人を呪わば穴二つ

          その昔、たった一度だけ、私は人を呪ったことがある。 悍ましい現実に耐えられず、骨の髄まで染みついたキリスト教の教えに苦しめられ、自我を保つために、愚かにも人を呪ったのだ。 呪詛。言霊。 それは、たまたまだったかもしれない。 自然の摂理であって、その人の運命だったのかもしれない。 それは誰にもわからないことだけれど、私は確かにそいつを呪った。 「あんなやつ、一生苦しみながら生きればいい。私の痛みを、苦しみを、絶望を、生涯をかけて全身全霊で感じて、生きればいい。簡単に死ぬ

          人を呪わば穴二つ

          100年に1度の恋でさえ、何も救いやしない

          「どんなにこちらがお慕いしたって、どうにもならない事だし」って一節がやけにチクチクしちゃって。 柴犬の散歩してるわけじゃないんだからって、また笑ってよ。子供みたいなことするなって、怒ったふりが下手すぎて伝わらない優しい声で叱ってよ。 そしたら、きっとまた、無邪気なふりして馬鹿なことだってなんだってできるのに。 君のためならこの命を捧げることさえも厭わないのに。 そしたら、きっと今度は、優しい言葉だけを紡ぎ続けて、音にしていたよ。 ただ手を繋ぐ事さえ許されなくなって、

          100年に1度の恋でさえ、何も救いやしない

          フェアトレード

          私のような職種には、8時間勤務という概念が存在しない故、開店前に家を出て、閉店後に帰宅するというのが日々のルーティンなわけで。そういえば、大好きな珈琲すら淹れなくなった生活を送っていたなと我に返り、奇跡的に早上がりだったその日、本当に久しぶりにカルディへと足を運んだ。 1年以上同じマンションに住み続ける事ができないという特殊な病を患って以来、度重なる引っ越しを繰り返しているわけなのだが、最寄駅に成城石井とカルディがないという理由だけで候補から意図も簡単に消し去ってしまうほど

          フェアトレード

          拝啓、敬愛なるお姉さま、お兄様方へ

          強く明るく生きろと、お前はそういう生き物だろと願いを込めて同意を求める貴方達が嫌いです。 死んでも死にきれぬほど憎いです。 私をそうしてしまった貴方達が憎いです。 私を空っぽの器にして、売り飛ばしたくせに。 この口は、人生を囁くためだけに 心は、ハッピーエンドを送るためだけに 1人の生物である前に、私は器なのだと そうやって育てたくせに。 女としての幸せとか、1人で生きる術だとか 急にわけわからないこと言わずに 私の少女時代を、青春を、 育むはずだった友情を返してよ

          拝啓、敬愛なるお姉さま、お兄様方へ

          もしも願いが叶うなら

          息を吐くように、或いは、お腹が空いたと感じる時のように、極々自然に、いとも簡単に「死にたい」という4文字が、「死にたい」という想いが、浮かんでは消え、浮かんでは消え、波の花のようにフワフワと飛ばされていく。 死が身近にありすぎるせいなのか、特段病んでいるわけでもなく、何が辛いとか、何が嫌だとか、何があったとか、特別なキッカケや原因があるわけでもなく、本当に極々自然にそういった感情が浮かんでは消えを繰り返していく。 心配して欲しいわけでも、共感して欲しいわけでもなく、「あぁ

          もしも願いが叶うなら

          世界はいつも希望で満ちていた

          三大欲求を満たすということが、自傷行為を、否、自殺行為を重ね失敗した時と同じくらい苦しくて恐ろしく後悔とも狂気とも畏れとも違う、とにかく、顔をグチャグチャにされ意思とは関係なく震え上がるほど苦痛なものだった時期がある。 毎日三度規則正しくやってくるその時間は、死なない程度に捕虜を弄ぶ敵陣の軍隊のように冷酷で、今考えると実に愚かな行いそのものだった。 食べたくないのに食べなくてはいけない、食べなくてはいけないのに食べれないという状況は、生きるか死ぬかなど簡単な話ではなく、無

          世界はいつも希望で満ちていた

          アダムとイブ

          「明日、一緒に死なないか」 自力じゃ真っ直ぐ歩くことも出来ないだらしの無い男が急に立ち止まり、真面目な顔をして呟いた。 「どうやって?」 「真っ白い服を着て、海を見ながらさ。」 「朝がいいわ。陽に包まれながら、穏やかに逝くのはどう?」 「悪くない。悪くないよ、君にしては」 泥酔した2人はどこまでもチンケな会話を繰り広げる。 燻らせた煙草の煙を追いながら、女は男の身体に巻き付いた。 「ねぇ、好き」 「かわいいね」 交差しない想いは、夏の夜の匂いに溶けて消え、破瓜の痛

          アダムとイブ

          だから私はライブをやらない

          「飲みに行こうよ」 「今は無理かな」 「コロナ、真に受けちゃってる感じ?」 「真に受けるって何?」 切っ掛けは些細な一言だった。 これが、音楽を生業として、人前に立つことで金銭を授受している一部の人間の発言だ。 ここで重要なのは、金銭を授受し、自分達の音楽を発信している人間が、「真に受ける」という発言をした。それが1人や2人じゃないということだ。 「会いたいね」 「落ち着いたらご飯食べに行こ」 「リモートでもいいよ」 私のいる世界で、常々繰り返されてきた会話が何だかと

          だから私はライブをやらない

          生きてるって感じたい

          あれもこれもそれも全部、私ではない誰かに向けたものという事実が虚しさを倍増させる。 太陽は眩しすぎて気が滅入るし、どこまでも続く空はとても窮屈だ。 鳥達の囀りは、何処へも飛んでいけない私を嘲笑うかのように聞こえる。 貴方には、伝わるかしら。鮮やかな世界に取り残されたモノクロームの傷痕と痛みが。 枯れたいのに枯れることを許されないプリザーブドフラワー。日向なんて好きじゃないのに、盆栽の見栄えの為だけに植えられた苔。空気の美味しい湖の中にいたのに、小瓶に詰められ汚い街へと

          生きてるって感じたい

          悲しい結末

          「友達でしょ」 「友達だよ」 それが私たちの合言葉だった。 病める時も健やかなる時も、私たちを縛る魔法の言葉は「友達」だった。 眠れない夜はいつも隣に君がいた。 1日の3/4を君と共に過ごし、2食を共にし、歯磨きや排泄の音さえも共有した。 「ダメだよ、2人きりは。」 「どうして?やましい事は何もないのに」 「だからだよ、タチが悪い」 「何も起きないのに?」 「何かが起きた方が気が楽でしょう。」 「どうして?」 「嫉妬の矛先をどこにもぶつけられないのは惨めすぎる。」

          悲しい結末

          グルナディンソーダ

          全国に1万2200人程しかいない苗字を持つ友人を私は1人持っていて、さらに、その稀な苗字をもつ1人が都内に生息する事を偶然にも知ってしまった1日があった。 その漢字を見た瞬間、私は甘酸っぱい思い出で胸がざわつき、いてもたってもいられなくなり、とても不快な気分に陥ったのだ。 「ねぇ、予備校帰りに遠出して、よく2人で歩いた川を覚えてる?」 「豊平川」 「昼間は汚いだけのあの川、夜になるとなんだか特別な感じがしてとても好きだったわ」 「酷い悪口だね」 「ごめん」 久し

          グルナディンソーダ

          それでも

          「いつもありがとうねぇ」 酸素を送るチューブを鼻につけた、おばあちゃんが優しく笑う。 「いつもありがとうねぇ。 今日はすこし具合がねぇ。 ご飯もあまり食べられなくて。 まぁでも幾分元気です。」 急に薬の量が減った。弱々しい声に心が痛む。 「本日体調崩され投薬中止、 これから入院されます」 知らない男の人の声がした。 「もうそろそろかもしれないですねえ」 他人事のように呟く上司。 「□月□日、亡くなりました。フォロー終了。 日を改めてご家族に連絡予定。」 事務

          それでも