乾杯できるのもあと何回?
夫と結婚して驚いたのは、夫のご実家の皆さんはみんなで集まるのが好きだということ。
盆と正月はまだわかる。クリスマスに誰かのお誕生日、父の日、母の日、ちょっとしたお祝い。
だいたいは夫の実家に集まって、みんなでご飯を食べる。
夫のご家族との関係は、別に悪くないと思う。
優しい人たちだし、良くしてもらって感謝している。
それでも、申し訳ないとは思いつつ、わたしは集まりに参加するのがおっくうだった。
新婚の頃はとくに、夫との二人の時間を邪魔されたように感じてしまうこともあった。
妻としての役目を奪われたようにかんじて、結婚した意味あるのかしら、と悩んだこともある。
夫には、ほんとの理由は言えなかった。
夫のご両親はみんなで楽しく過ごしたいと思って声をかけてくれるのに、こんなこと考えてイヤな嫁だな、と思うと、なおさら気持ちが暗くなる。
もやもやしながら過ごしていたある日、祖母に電話する機会があった。
ちょうど誕生日が近かったから、「おめでとう」というと、「覚えててくれたの?ありがとうね」と嬉しそうな声がする。
「この前は、あんたのお母さんがお祝いしてくれたし、昼間は○○と××さんが来てくれて、おばあちゃんほんとにしあわせ」
○○おじさんと××おばさんは、祖母にとって息子夫婦。祖母の弾んだ声を聞いて、わたしは夫のご両親のことを思い出す。
多分、夫のご両親も祖母と同じように嬉しかったんだろうな。あと何回、みんなで集まれるんだろう、とふと考える。
しばらくは元気で集まれるかな。だけど、だんだん歳を重ねていくし、みんなでワイワイやれるのも、ずっとじゃないんだよな。
あんなに参加をめんどくさがっていたのに、終わりを想像するとなんだか寂しいから勝手なもんだ。
みんなでハッピーバースデーを歌って、ご飯やケーキを頬張ったことも、いつかお互いにとって、大事な思い出になるのかもしれない。
正直今でも、誘われても気がのらないこともある。元々、飲み会とか苦手だし。
でも、祖母の弾んだ声や、夫のご両親の嬉しそうな顔を思い出すと、たまにはみんなでワイワイするのも悪くないかな、と、そんなふうに思ったりもする。
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