シュークリームの思い出

母の知り合いに、Hさんというおばあちゃんがいた。Hさんは、昔、給食の調理員さんをしていたらしくて、お料理が上手だった。

Hさんは、よくシュークリームをおすそ分けしてくれた。多分、母に子どもがいるって知ってたから、わたしたち姉妹のために作ってくれたんだと思う。

お菓子の箱に、ぎっしり入ったシュークリーム。
手作りだったから、皮は柔らかめで、中のクリームは優しい味だった。

今思うと、作るの大変だったんじゃないかなあ。
わたしがお料理苦手だから、そう感じるのかもしれないけど。

シュークリームの他にも、おはぎとか、中華丼とか色々おすそ分けをもらった記憶がある。
わたしは、中華丼が一番好きだったなあ。

大人になって、わたしの職場にHさんが患者さんとしてやってきたことがある。
「○○の娘です」って声かけようかな、って迷ったけど、私のことわかんないかなって思って、結局何も言わなかった。

さっき、お店で買ったシュークリームを食べて、Hさんのシュークリームのことを、ふと思い出した。お店のも美味しいけど、Hさんの手作りって感じの優しい味のシュークリームも美味しかったな。

やっぱり、Hさんに再会したときに、「○○の娘です。シュークリーム、美味しかったですよ」ってお礼を伝えておけばよかったかな、と、今になって思う。