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【パーマカルチャーデザイナーvol.59】Masaki Suzuki

これはパーマカルチャーデザインコース(以下、PDC)を修了したパーマカルチャーデザイナーたちのリレーコラムです。

※パーマカルチャーとは
"Permaculture is a dance with nature, in which nature leads."
パーマカルチャーとは自然に導かれる自然とのダンスのようなもの。
Bill Mollison

ビル・モリソン

#59 Masaki Suzuki(Bell)

3年の時を越えて出会えたベルくん。
好奇心旺盛な眼差しはキラキラしていて興味あることについて問いてみると愛情深く語ってくれます。
そんな彼らしさが溢れている今回の記事を是非味わっていただけたら嬉しいです。

Q1.あなたについておしえてください

小学生のとき図書館の棚をくまなく観察しているときに発見したレトロな『釣りキチ三平』という昭和の漫画に絶大なインパクトを感じ、「釣り」は道具を買うことからはじまるのでなく、餌も竿もイチから作る(作れる)ということに気がつきました。

5年前、コネクションプラクティスNVCのテクニックと心臓の研究)を学ぶことをきっかけに

「よろこびが大事。むしろ喜び以外の行動の必要ない」

というマーシャル・ローゼンバーグの発言を聞いてから、改めて自分の喜びを探し始めました。

頭で考えているばかりだと「自分にとっての喜びなんてない」と困惑しましたが、「釣り」に大人になってからでも手が震えるほどの感動があることに気がつきました。

これは大事にしたい発見でした。

自分の中にある貴重な喜びの釣りを軽視してきた暮らしを見直し、改めて理論から学び直すため村田基・奇蹟の釣り大学に入学。

「どうすれば釣れるのか」を研究し、ここでさらに大発見がありました。

釣れるためには技術が必要でも、マニアックな高価な道具が必要でもありませんでした。

何よりも釣れるためには「そこに魚がいることが大事」という笑えるほどの真実でした。

©︎Rie Moriuchi

釣りと同じくらい気になっていたのは「人類は何を食べてきたのか?」という旧石器時代への不思議でした。

自分たちのホモサピエンスが生まれてから20万年間食べてきたものと、農耕が始まった1万年前からの食事、そしてこの100年で口にするようになったものを分類してみると明確でした。

農耕以前の19万年間(初期人類も含めると199万年)食べていたものと、この100年でのいちばんの違いは糖のエネルギー代謝でした。

今は、その糖のエネルギー代謝を療法の目的とした会社の中で、果樹による糖と牧畜による乳製品タンパク質の自給をミッションにいちから働いています。

あそびとしては、さかな釣り・鉱物採取・調査記録のない屋久島の淡水の環境と生物調査・微気候を生み出す実験・チベットダンス・クジラ観察・猛禽類観察としています。

©︎Rie Moriuchi

Q2.パーマカルチャー デザインコースを通して

亜熱帯のトロピカルフィッシュの北限(暖海性魚類)とイワシ・サバ・アジ・カツオといった魚(暖流魚)の南限の生息域の重なった屋久島が日本でトップクラスで魚種が豊かなことに気がつきました。

釣りのため移住した屋久島であらためて「釣りのなにが心揺さぶるのか」をモヤモヤと把握できないままでした。

デザインコースのなかで、「観察が大事」という初歩の初歩くらい基本的なパーマカルチャーの学びに『釣りキチ三平』くらいドカンとインパクトを受けました。

多くの受講生の中で自分のフィールドを持っておらず何も始めていない残念な気持ちを持っていた中で「1年間は何もしない観察が大事」という響きに「なまけて何もスタートしてない気がしていたけど観察は釣りによって続けてきた」という大きな自信が生まれました。

「私は釣りが好き」だけでなく「私は観察が好き」という胸を張って堂々と言える発見でした(気づいた瞬間は身体に”観察”と刻みたいくらい嬉しかった)。

屋久島の観察の中でスタートした鉱物ハンティングのあそびも、何か楽しいのかチンプンカンプンのなか「観察して→想像して→探して→見つけて→野生に触れて→共有して」という釣りと同じハンティングが好きなのだという見通しがデザインコースによって明らかになりました。

©︎Rie Moriuchi

Q3.あなたにとってパーマカルチャー って

PDC後に何より印象に残るのはデザイン手法の効能です。

一年草よりも多年草を利用することで面積あたりのギフトが増えるとか、ゾーンに分けてデザインすることでヒトの習性を利用したムリのないデザインに「なんと楽しそうな自給自足なのだ」「なまけていいのだ」と解釈して喜び湧きました。

 それは大学の頃からNGO ナマケモノ倶楽部でナマケモノの生態を目指した暮らしに憧れていた私にとってピッタリのデザイン手法でした。

 さらにドラマ『北の国から』を子どもの頃から見ていたので、自給自足のイメージは山あり谷あり絶望ありと染み込んでいた中で、ピザパーティーで労働力とユーモアを収穫するようなデザインにハッとする希望をいただきました。

Q4.PDCの中で次にバトンをつなぎたい人

高橋裕美ちゃん。

食料の自給を目指す中で、四つの胃袋と反芻によって驚異的な消化能力と可愛らしさを兼ね備えた牛は原始人食でも重要な牧畜ミッションだけれども、牧畜にハードルを高く感じて困っていました。

その悩みを吹き飛ばすように
「まずアパートの庭で飼って、散歩で道草を食べてもらってスタートした」
と軽やかに大事なことを実践している姿に希望を抱かせてくれたのが裕美ちゃんでした。

photo by Yukako Kiyama

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鈴木正輝(ベル)
Masaki Suzuki(Bell)

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2023/8/23 処暑