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[KNOT] PARADISE AIR×イギリス

世界中のまだ見ぬ価値をAIR事業を通して発見し、解きほぐして時代に呼応して結び直していく 「PARADISE Knot」は海外のAIRとアーティストがつながるノット(=結び目、結び方)に対してPARADISE AIRがAIR同士の結びつきやAIRとアーティストのより良い出会い方の個別解を丁寧に模索することを目指しています。

これまでの移動し、制作するという従来のAIR像にとらわれることなく、PARADISE AIRが構築してきたネットワークの強みを活かしAIRの現場のアップデートを目指す。 そしてアーティストの制作機会はもちろんのこと、AIR事業に関わる仕事を創出し、関係を作り、さらなる発展へと結び直していく。

イギリスで連携のある団体は、レジデンス・スペース/文化施設であるMetalと、Samarbeta。Metalは、当初2002年にロンドンにてオープンしたが、2004年以降はリバプールを拠点にしており、サウスエンド・オン・シー(エセックス)、ピーターバラ(イングランド東部)にもスペースがある。これまでイギリス国内および海外からのアーティストを迎え、音楽フェスティバルやリバプール・ビエンナーレ、文芸フェスティバル等とも協働しながらプロジェクトを行なっている。どのスペースも、古く歴史的な建築物を再活用したもので、(例えば、リバプールは旧駅舎を利用)地域のクリエイティビティーの拠点施設となっている。

Samarbetaは、2013年末に音楽に特化したレジデンス・プログラムを行うプロジェクトとして、エマ・トンプソンとリヴカ・バーンズの2名により始められた。彼女たちは、アーティスト・イン・レジデンススペースであるイスリングトン・ミルにて長らく働いており、そこから音楽系のレジデンスプログラムの可能性を探り、イスリングトン・ミル内にてプログラムを行なっている。イスリングトン・ミルは、旧工場を再利用したレジデンススペースで、90年代後半にアーティストのビル・キャンベルが自身のスタジオとして同スペースを活用したのをきっかけに、2000年から規模を拡大し、様々なアーティストを受け入れる空間となった。現在までに100組以上のアーティストが滞在している。

PARADISE AIR×イギリス|KNOTのきっかけ

PARADISE AIRの活動の記録を撮影しているカメラマンに、加藤甫がいる。彼は、ミュージシャンのドキュメント撮影も行なっているが、あるバンドのヨーロッパツアーの際、Metalを訪問し、そこでエマ・トンプソンに出会う。その際にPARADISE AIRのことを紹介し、また、加藤がPARADISE AIRにMetalの存在を紹介し、何かできるのではないかと話していたところ、エマ・トンプソンが日本に来る機会があり、PARADISE AIRにも視察に来ることになった。それが2019年6月のことである。

PARADISE AIRに到着したエマ・トンプソン(写真左)

この滞在がきっかけとなって、その年のうちには、PARADISE AIRとMetal、Samarbetaとの3拠点でアーティストを派遣し合うなど、コラボレーションプロジェクトを行おうという計画が組まれることになった。

これまでの活動

2020年に入り、新型コロナウイルスの影響で、渡航しての相互交流が不可能になってしまった。そこで、オンラインで何かコラボレーション・プロジェクトができないか、模索することになり、PARADISE AIR、Metal、Samarbetaの3者でオンライン・ミーティングを重ねた。そして、音/音楽に関係するアーティストをそれぞれが推薦し、3組のアーティストで行う「オンライン・レジデンス」を行うことになった。

  • 2021年2月25日(木)〜3月12日(金)UK/Japan Digital Artist Residency Exchange

3組のアーティスト、3箇所の組織のメンバーとでオンラインで話し合った

それぞれの施設が推薦し、このプログラムに参加することになったのはアーティストは、DRS(イギリス、マンチェスター)、M T HALL(イギリス、リバプール)、Torus Vil.[佐藤公哉+権頭真由](長野)の3組だ。この16日間で、時差などの条件がある中、それぞれが自宅からオンラインでつなぎ、それぞれのレジデンスの紹介、それぞれのアーティストの自己紹介にはじまり、ミーティングを行う中で3組でひとつの音楽を作るということになった。オンラインでミーティング/トークを行うほかに、オンラインセッションを行なったり、各自が制作した音素材やフィールドレコーディングを行なった音源をオンラインデータベース上にシェアし、相互に自由にアレンジをしながら制作は進められた。実際に完成した楽曲は、このプログラムの交流を振り返る記録映像とともに聴くことができる。

「UK/Japan Digital Artist Residency Exchange」オンラインでの交流の記録

2022/3、現在進行中のプロジェクト

現在は、2022年後半にアーティストと対面で交流することができるように、リサーチやコミュニケーションを続けている最中だ。

執筆:渡辺文菜

アーティスト・イン・レジデンス「PARADISE AIR」の持続的な運営のために、応援を宜しくおねがいします!頂いたサポートは事業運営費として活用させて頂きます。