【しをよむ121】吉野弘「祝婚歌」(2回目)——推しキャラはかわいいし推しカプは尊い。

一週間に一編、詩を読んで感想など書いてみようと思います。

吉野弘「祝婚歌」

(田中和雄編『ポケット詩集』(童話社)より)

以前にこの詩を読んだ記事はこちら:

大型連休にはいり曜日感覚がぼんやりしかけていますが、今週はちゃんと覚えていました。

「祝婚歌」をあらためて読んでみての感想は
「推しカプ(推しのカップリング)が尊い」でした。

推しカプ、推しバディ、推しコンビ、その他もろもろの推し二人組がいらっしゃる方は、ぜひ当てはめながら「祝婚歌」を読んでいただきたいです。
そのひとたちの完璧じゃない、立派すぎない、だからこそ愛おしいところがグサグサ刺さってくることと思います。
私の中では刺さっています。

「立派でありたいとか
 正しくありたいとかいう
 無理な緊張には
 色目を使わず」
というのも本当にわかります。
背伸びしなくても今のあなたが最高に大好きなんです……。
でも自分のなかの理想像を追ってがんばっているところも健気で応援したくなる……。
このアンビバレントな感情を両立させようとすると
「決して報われることのない努力をそうとは知らず延々と続けていてほしい」に
なってしまいそうな気がしたので、このあたりで蓋をしておきます。
申し開きをさせていただきますと、「推しの成長を見守りたい」という気持ちも、ちゃんと最近わかるようになったんです……。

前に「祝婚歌」を読んだときはゴールデンカムイの関係性を思い出しましたが、
二人で、と改めて考えたときにいちばんしっくりきたのは
「きのう何食べた?」のシロさんとケンジでした。
シロさんは理詰めで正論を押してしまったときには時間を置いて反省して、
ケンジはおねだりしたりヤキモチを焼いたりしながらも静かな気遣いがあって。

話は変わりますが「完璧すぎない」というの、ギャップ萌えにも通じるところがありますね。
もしかしてこの「祝婚歌」はこれから結婚する二人にとってだけではなく、
キャラクターや作品の創作にも役立つのかもしれません……。

お読みいただき、ありがとうございました。
来週は会田綱雄「伝説」を読みます。

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