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Photo by
sei_kataoka
7月15日(出勤の10分間)
アパートの重く鋼の塊のような玄関ドアを開いた。蒸し暑い空気、非常にしつこく粘っこい空気が体にまとわりついてくる。今日も出勤か、と心の中でつぶやく。金曜日の、しかも3連休の前ということもあって、心なしか体はまだ重くないし、気持ちもそこまで憂鬱ではない。
扉を閉めながら、自身の革靴のことについてが頭をよぎる。泥汚れがついた革靴を、安く購入したスポンジで軽く拭き取り、社会人としての体裁を出発前に整えてきた。私は一流のビジネスマンではないと分かっていても、三流とは周りから思われたくない。とりあえずは格安スポンジで靴をきれいにする。本来ならば専用の溶液と布切れで汚れを落として、ケア専用のクリームを使って油分を革靴に与えないといけない。が、ずぼらは私は土日で時間があっても手入れをしていないのだ。そんな自身の態度については、あまり勧められたものではないと思っているが、これ以上の言及はしないでおく。
ドアの前から階段までの数メートルの距離を歩きながら、景色を眺める。この景色は、どんな日もとてもきれいに私の心に映る。細かいことは気にするなと常に私に語りかけているようでもあり、都会の中の1人、社会の一員なんだという自覚も促されているように感じる。
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