カーチャンをキリスト教式の自宅葬で送った話

先日、カーチャンが71歳で天国に旅立ちました。

低予算な葬式を出そう

カーチャンはクリスチャンなので、葬式は通っている教会の牧師さんにおまかせすることは決まっていました。
なのでカーチャンの死亡宣告後、真っ先に電話したのは親戚でも葬儀屋でもなく牧師さんでした。
牧師さんはすぐに病院に駆けつけてくれ、教会と連携している葬儀屋に連絡してくれました。

トーチャンと牧師さんと葬儀屋の話合いの結果、葬式は自宅での1日葬になりました。
カーチャンは10年以上車椅子生活でほとんど外出できず、交流の続いている友達はほとんどいませんでした。
葬式に来てくれる人が少ないし、家は田舎あるあるで無駄に広いので、お金をかけてホールを借りることもなかったわけです。

低予算な葬式の内容

さて、低予算な葬式の内容ですが、

霊柩車:たぶん最低ライン
キンキラのお神輿みたいなのが霊柩車は使いませんでしたが、病院から家までカーチャンを連れて帰るのと、家から火葬場に連れて行くのは、葬儀屋にお願いせざるを得ませんでした。
ちなみにいい車なのか大衆車かはわからないけど長くて黒い車でした。エスティマって書いてあったような。

祭壇:なし
葬儀屋には小さいテーブルに十字架の飾りだけ置いてもらいました。
葬儀屋からの請求書の内訳は、祭壇ではなく枕飾り代ということになっていました。

花:教会からもらう
牧師さんが手配してくれた小さめの花飾りだけで、葬儀屋には頼みませんでした。
仏教だと菊が多いですが、今回もらった花はユリとかカーネーションが多かったです。
出棺の時に棺桶に入れましたが、華やかながら可愛らしい感じになりました。

棺桶:たぶん最低ライン
棺桶って顔の部分に小さい扉がついてて、その扉にきれいな金具がついてたりしますよね?
その飾りのない、ただの小さい扉がついた木の箱でした。
あまりにシンプルなのでお絵かきでもしてやろうかと思いましたが、さすがにトーチャンに止められました。
でもそういうシンプルさが、逆に可愛いかもしれません。

棺桶にかける布:キリスト教仕様
黒いつやつやした布(たぶんサテン)に白い十字架のアップリケがしてありました。
棺桶に十字架ってドラクエみたい!って脳天気に騒いでいたのが私です。アホです。
これもたぶん最低ラインのものだと思います。

遺影:自前で用意
カーチャンの写真をパソコンのプリンタで印刷して、ホーマックで買ったL版サイズの写真立てに入れて用意しました。葬儀屋には頼みませんでした。

納棺代:たぶん最低ライン
葬儀屋に専門の納棺師は常勤していないらしく、呼ぶとけっこうお金がかかるとのことで、納棺は葬儀屋の男性スタッフにやってもらいました。
カーチャンは生前トーチャンに「ワタシが死んだら結婚式のお色直しみたいなキレイな色のドレスを着せて!」と言っていたようですが、トーチャンはドレスを用意できるような気遣いのできる男ではありません。
もし私がそれを知っていたなら、ネット通販で激安ドレスを買っておいて、お金はかかっても納棺師を呼んで着せてもらったでしょう。これは少し残念でした。

葬式の進行:たぶん最低ライン
葬式の司会進行は全部牧師さんがやってくれたので、式の間葬儀屋スタッフさんはトラブルがないか見守ってるだけでした。
余談ですが、葬儀開始から出棺までは30分くらいでした。キリスト教だから短いのか、家族葬だから短いのかは謎です。

骨壷:壷じゃなかった
最低ラインだからなのか、キリスト教式だからなのかは謎ですが、骨壷が壷ではなく木の箱に直接骨を入れるスタイルでした。
これはけっこうビックリしました。

火葬場に行くバス:なし
トーチャンの車と牧師さんの車とで全員乗れるくらいしか参列者がいないので使いませんでした。
余談ですが、家と火葬場は歩いて5分くらいの距離で、カーチャンを炉に入れたら家に帰り、焼き上がったらまた火葬場に行って骨を拾うということができたため、火葬場の控室使用料もかかりませんでした。

料理代:ペットボトルのお茶
1日葬なので通夜ぶるまいも必要ないし、火葬後骨拾いが終わったら親戚たちも牧師さんもすぐに帰ってしまったので、参列者にペットボトルのお茶を渡しただけで終わりました。
お茶も近所のスーパーで買ってきたもので、葬儀屋には頼みませんでした。


葬儀屋に払った代金は203,500円でした。これ以上削ったら会社が潰れると泣かれました。

これとは別に、牧師さんへの謝礼に15万円包んだのですが、牧師さんが受け取ってくれなかったので、教会への献金という形にしました。

そんなわけで、葬式にかかったお金は約35万円でした。

低予算葬式のメリット

低予算ってだけで大きなメリットですが、意外なところにもメリットがありました。
低予算だと自分たちでいろいろやらなければなりませんが、逆に考えれば好き勝手し放題なわけです。自宅葬なんだから部屋の壁いっぱいに氷川きよしグッズを飾ってもいいし、祭壇がないんだからカーチャンの好物の菓子パンを盛り盛りにして疑似祭壇を作ってもいい。

中でも良かったのが、化粧をしてあげられたこと。71歳のカーチャンに、若い頃の松浦あやや風キュート系メイクをしました。あややには似ても似つかないカーチャンだけど、親戚からは「生きてる時よりかわいくなった」と喜んでいいのか悪いのかわからない言葉をいただきました。
もしカーチャンのドレスが用意できて、納棺師に着付けと化粧を頼んでいたら、さすがにあややメイクではなく年相応マダムメイクになっていたでしょう。それはそれできれいかもしれませんが、子どもみたいだったカーチャンにはキュート系の方がしっくりくると思っています。

余談ですが、素人が死化粧を施す場合、絶対死後間もなくの方がいいです。いくらドライアイスを入れていても、遺体はどんどん傷んできます。
私はカーチャンの死後一晩経ってから化粧をしてやったのですが、皮膚の弾力がなくなって、アイシャドウをぼかそうとしたら皮膚が剥がれるんじゃないかってくらい脆くなっていました。
とは言っても、死亡当日はやらなきゃならないことが多くて、死化粧のことまで考えが回らないんですけどね。

低予算葬式のデメリット

故人の顔が広い場合、家族葬のような小規模な葬式だと、葬儀終了後に次から次へと弔問客がやってきて遺族が疲れるので、一般的な葬式の方がいいとはよく言われていますね。
あと、親戚に会社の重役クラスなど偉い人がいる場合、香典は受け取らないことの多い小規模な葬式の場合、メンツを潰すことにもなりかねません。
カーチャンは幸か不幸か友達が少ないし、親戚に偉い人もいませんが、やたらひがみっぽい親戚がいます。香典は受け取らないと伝えると「俺がビンボーだからってバカにしてるのか!」と怒りだすしまつ。確かにバカにしてるけどビンボーだからバカにしてるんじゃなくてひがみっぽいからバカにしてるんだよと言いたかったです。
でもコイツの場合、一般的な葬式だろうと勝手に怒るでしょうし、低予算ならではのデメリットではありませんね。

低予算な葬式を終えて

めんどくさい親戚がめんどくさいことをしてくれたけど、低予算1日葬は私にとってはいい式だと思えるものでした。
もっともカーチャンはどう思ってるかはわかりません。「こんなにパン飾ったら、ワタシが食いしん坊だとおもわれるでしょ!」とか、「賛美歌じゃなくてきよしのズンドコ節をかけて欲しかったのに!」とか、天国で文句を言ってるかもしれませんが、今のところカーチャンが化けて出てきたりはしてないので、これで良かったということにします。

私の身に何事もなければ、いつかはトーチャンの葬式も出すことになりますが、今回と同じように、牧師さんに頼んで、低予算1日葬で送りたいと考えています。その時はめんどくさい親戚には絶対知らせずにおこうと思います。


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