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所属組織はどのような組織変革が成功しやすい?【大学院の学びの振り返り】

イギリス大学院のMPAコースで学んだことの振り返りです。

コース名:「Leading Managing Change(変革の導き方)」
「現在所属する組織における組織変革をどのように管理すべきか?」という問いについて、学んだことのポイントを整理する。


組織変革(Organizational change)とは?

組織変革とは組織で起こる変化全般のこと。マネジメント理論や組織論の一部として学問的に展開され、組織内での変化が起こるまでのプロセスを計画・管理し、より効果的な組織変革を起こすには?という問いを追求している。

組織変革は様々な要因から発生し、その複雑性から非理論的と言われてきた。その中で学者は変革の特徴ごとに分類分けし理論化に取り組んだ。分類分けの一つに、Kurt Lewinは変革を意図したものかどうかで2つに分類した。

計画的変革:組織が意図的に着手した変化であり、小規模で漸進的な変化が成功する。安定的で比較的予想可能な環境で発生する。
創発的変革:偶発的に生じた変化であり、大規模な変化が成功する。日々状況が変わる組織で発生する。

Burnes, B. (2004). Kurt Lewin and the Planned Approach to Change: A Re-appraisal

所属する組織は計画的変革または創発的変革のどちらか?

所属する組織の変革の種類を知るためには、組織の特徴を知る必要がある。そこで組織の特徴ごとにマネジメント方法をまとめたマネジメント理論が役立つ。※代表的なマネジメント理論にMax Weberの官僚制がある。

日本文化を反映したマネジメント理論である日本的経営を提唱したOuchi, W(1981)は、日本の組織における変革について以下のように述べている。

日本の組織は変革プロセスの90%を計画に費やしており、綿密な計画を立てることで潜在的な問題を特定している。

Ouchi, W. (1981). Theory Z: How American business can meet the Japanese challenge
※ここでの日本の組織とは、終身雇用や賃金と昇進に関する年功主義を採用している組織を指す

所属する組織が終身雇用・年功序列を採用しており、さらにOuchiの主張通り変革において計画性を重視しているため、所属する組織は計画的変革が成功しやすいと言える。

抵抗要因の考慮

Kurt Lewinによると、計画的変革を起こすための前提条件として、組織内の人々を説得し抵抗要因を少なくすることが必要となる。抵抗について、Ouchiは日本の組織の特徴上抵抗要因は少ないことを主張している。

日本は他国に比べてはるかに多くの人々を意思決定に関与させるため、広範な支持を獲得できる。実際中国や米国の企業よりも抵抗要因が少ない。

Ouchi, W. (1981). Theory Z: How American business can meet the Japanese challenge

多くの人を意思決定に関与させるプロセスをきちんと踏めば、抵抗要因が少なくなり、変革が成功しやすいことが分かる。

まとめ:所属する組織における組織変革

所属する組織においては、①計画的変革(小規模で漸進的な変革)が成功しやすいこと②実施前の計画段階で多くの人を意思決定に関与させることができれば抵抗要因が少なくなり、変革が成功しやすいことが分かった。

以下、今後調べてみたい点をまとめる。

  • 日々環境が変わる中、創発的変革を管理することは可能であるか?公的機関の中で創発的変革が起こりやすい組織(国際協力関係)はどのように管理しているのだろうか。

  • 同じ国家機関でも私の組織は比較的変革が起こしやすい職場環境と言われている。他の組織とは何が違うのか?


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