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知恵者とコミュ(5)冗談の受容

 知恵者が会話をする際、受容しておかなければいけないものがある。それが冗談である。冗談を言わなければ会話はほとんど成立しない。真面目な人間ほどとっつきにくく思われるのは、会話が成立しなくなるからだ。冗談を言えない環境ではセリフは10分の1にもなりかねない。さらに冗談は、うまくやればその場の雰囲気を明るくする効果を持つ。というか、冗談が言えないと、挽回の余地は一切なくなり、息苦しい環境となるだろう。
 冗談というのはコツがいって、「全くないこと」を言うのが決まりである。たとえば、簡単な例だと、「天地がひっくり返ったかと思った」などのくだりである。これはあり得ないとはっきりとわかる言葉であるからみんな受容できている。「まずありえないこと」は言ってはいけない。特に人のことでそう言った確率の低くてもあり得るかもしれないことは言えない。あいてがあり得ないことでも傷つくケースがあることを考えれば、これは想定できる。人とは傷つきやすいものなのだ。だから冗談を言うときは非常に細心の注意を必要とする。慣れてきても、「しばらく冷却期間を置かないと」なんてセリフがその道のプロから出てくるほどである。
 冗談が出てこないという人は難しく考えないで、連想すればいい。ビールが出てきたら、「俺ものみたいな」でも構わない。そう、連想は欲望に間接的につながっている。だからこそ、悪魔の誘惑に勝てる人でないと、冗談は言えないし、幼いころからそう言うことを言わせない環境を親が求めるのも、そう言った理由からだ。
 とはいえ、冗談を恐れていては、なにもいいことは生まれないと思っていていい。果敢にチャレンジする環境があるべきだと私も思っている。もちろんそこには受容すべき愛情が存在しないといけない。いろいろ手続きが大変なのだ、冗談というものは。でも、そんなに臆病にならないで。決まった人を選べれば、冗談を言う環境で、あなたも冗談を言えるようになるはずであるのだから。安心していい。

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