彼女は僕にとっての100%の女の子なんだ。



四月のある晴れた朝、
原宿の裏通りで僕は100%の女の子とすれ違う。


四月のある晴れた朝にモーニング・サービスのコーヒーを飲むために原宿の裏通りを歩いていたら、速達用の切手を買うために歩いていた僕にとっての100%の女の子とすれ違う。


こんな素敵な風景から始まるのが、

村上春樹さんの短編
「四月のある晴れた朝に100%パーセントの女の子に出会うことについて」

10代に100%で出会った男女が、
30代になって出会うと
その濃度は薄まってしまっていて、
もうお互いに気付けなくなる悲しいお話。

この短編が、大好きなんだな。
キュンときてしまった。

(カンガルー日和、象の消滅、に収録されています)


私は春樹さんが長編をたくさん書いていた時代をあまり知らなくて、
村上春樹さんをよく知らなかった。

ハルキストという名前だけが一人歩きしていて、
なんだか読めなかった作家さんだったんだけど、
たまたま古本屋さんで出会ったのが、春樹さんのエッセイ「職業としての小説家」だった。


読みやすくて、
すらすら流れるようにリズムのある文体。

猫が好きで、(私も猫が大好き)、
音楽が好きで、
年齢を感じさせない。

ストイックに翻訳をやったり、
海外の本をたくさん読んだり、
春樹さんはセンスの塊で
その優しさと厳しさが好きだった。



長編小説を読むようになって、

「春樹さんって、長編小説めちゃくちゃ面白い……」

って気付きました。

プロットの立て方から、伏線回収も完璧で、
哲学や社会的要素も盛りだくさんだし、
読者を全く飽きさせない。

全然、「やれやれ」じゃないじゃん!!!

その技術に圧倒されました。

こんな面白い小説たちを、
当時、リアルタイムで、新作を読めていた時代があったなんて……、
本当に羨ましくて、

春樹さん、長編出してくれないかな……。

って私は新作を今か今かと待ちわびています。


なんと言っても、この1980年~1990年代の
アナログな時代の描写が大好きで、
便利になりすぎていないこの時代が本当に懐かしい。

現代的な小説には、インスタ、スマホ、ツイッターが当たり前に出てくるけど、
そこが出てこないことも、
なんだか安心してしまって、やっぱり落ち着く。

ねじまき鳥クロニクルも、1Q84も、世界の終りとハードボイルドワンダーランドも、
ダンスダンスダンスも村上春樹翻訳ライブラリーも読んでみたい。


なんだよ、やれやれ、

春樹さん、大好きじゃん。

(BRUTUSも買います…)










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