耳の聞こえない方のコミュニケーション

 ある耳の聞こえない方とチャットをする機会があった。彼女は自分の行動に対する制約を崩そうと頑張っているようであった。
 耳の聞こえない方のコミュニケーション術と言えば、筆談や手話を思い浮かべる人も多いと思うが、彼女はあまりそれが好きではないと言う。それは目の見えない方とコミュニケーションを取れないから、と彼女は言う。彼女は代わりに読唇術でコミュニケーションを取っているらしい。そうすれば、目の見えない方とも健常者とも普通に会話ができる。なるほど、耳が聞こえない事で起こる制約をこのように躱しているのか、そう思った。しかし、すぐにそれが抱える問題に気がついてしまった。それは皆の口元で彼女のコミュニケーション手段を一つ奪うマスクというものの存在である。健常者間の関係においてもコロナが齎した制約は大きいが、目の見えない方-耳の聞こえない方の間の関係においては特に深刻と感じた。
 この問題の収束にはコロナの収束が欠かせないと私は思う。一刻も早く収まって欲しいものだ。

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