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妊娠の話① そうして私はマタニティマークをつけるのをやめた

こんにちは、p0k0です。
今日からしばらくは妊娠・出産についての話を書こうと思います。

この記事を書いている今現在は妊娠8ヶ月のため、まずは妊娠の話についてを書いていきます。

妊娠について何を書こうかと考えたときに

1. これから妊娠を考えている人の参考になるといいなと思う話
2. これまで妊娠をしたことがある人が言いたかった(かもしれない)話

があるかなぁと思ったので、この軸で書いていきたいと思います。
(全然違う軸になってしまったらすみません)

さて、今日は 2. これまで妊娠をしたことがある人が言いたかった(かもしれない)、私が実際に体験した話をしようと思います。

それは、駅構内のポスターで見かけることのある「マタニティマーク」についての話です。
マタニティマークってなに?という方もいらっしゃると思いますので下に写真を貼り付けました。妊婦さんがかばん等につけているキーホルダーです。

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マタニティマークってどこで手に入れるの?そもそもどういう流れで手に入れることになるの?という方もいらっしゃると思うので、
妊娠の判定からの流れを書いておきます。

妊娠の判定からマタニティマークをもらうまで

妊娠かな?と思うとまずはドラッグストアで市販されている妊娠検査薬を用いて家で検査を行い、妊娠反応が陽性(もしくはそれっぽい)の場合に産婦人科に行きます。

ちなみに妊娠反応は尿中の hCG(human Chorionic Gonadotropin: ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)によって分かります。
hCGは受精卵が子宮に着床してから初めて体の中でつくられ、生理予定日(妊娠4週目)頃から尿の中に出てくるホルモンで、家だろうと病院だろうと妊娠判定の検査はこのホルモンで行います。

病院で行うと検査代だけで2,000円程度しますが、市販だと検査キットが1本500円程度で購入できるので、家で検査するのが一般的です。

妊娠反応やそれに準じた反応があった場合に産婦人科に行き、
産婦人科医から正常妊娠の診断があった場合に、
お住いの市区町村の保健所に行って母子手帳をもらってくるように指導を受けます。

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母子手帳のデザインは市区町村によって異なります。丸亀市はミッフィーちゃんでかわいいですね、いいなぁ。

この母子手帳の交付とともにマタニティマークはもらうことができます

交付以外でマタニティマークを手に入れる方法

区役所で交付される以外にも、
アカチャンホンポ等のベビーグッズ専門店でもらうことができたり、
マタニティ向けの雑誌(たまごクラブ等)の付録についていることもあります。

マタニティ向けのグッズショップで買うこともできます。

また安産のお守りがマタニティマークになっている神社もあります。
写真は東京・乃木坂の駅そばにある乃木神社の安産お守りです。
とってもかわいいですよね。

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こうして正常妊娠、つまり妊娠超初期でも初期でも中期でも妊婦になった方は、マタニティマークを手に入れることになります。

私がマタニティマークを付けた結果

初めのうちは私も妊娠した喜びと母子手帳等を手に入れた喜びとを噛み締めて、あちこちで手に入るマタニティマークを出かける際に用いる複数のかばんにそれぞれ付けて出かけていました。

マタニティマークを付けていると、妊娠していると気づいてもらえて電車で席を譲ってもらえるかな?困っているときに誰か助けてもらえるかな?という期待もありつつ、
私はどちらかというと妊娠した喜びが当初大きく、そのために付けていたように思います。

実際にマタニティマークを付けていると、駅のロータリーでバスを待っているときや飲食店に出かけたときに、年配の女性から「いま何ヶ月なの?楽しみねぇ」といった声をかけてもらうことが何回かありました。

しかし、だんだんとマタニティマークを付けていることの本当の意味合いが感じられず、逆に申し訳ない気持ちになることがあったので、
私はマタニティマークをつけることをやめました。

「マタニティマークを付けていると狙われる」といった記事がありますが、実際に私は体験したことがないから本当に誰かに狙われるのかはわかりません。
(妊婦のみなさんが狙われないことを祈るばかりです)

しかし、私は別の意味合いでマタニティマークをつけることをやめました。

なぜマタニティマークをつけるのをやめたのか

マタニティマークをつける理由は先程記述した通りです。

公共交通機関で席を譲ってもらえる、体がしんどいときに誰かに助けてもらえる、といったことを期待しており、
また公共交通機関に貼ってあるポスター等にも「このマークを見かけたらお心遣いを」という趣旨が書かれています。

以下は関西の鉄道会社が共同で出したポスターです。もちろん関東でも同じようなポスターが各鉄道会社、駅構内にはられていると思います。

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妊産婦さんができれば席に座りたい理由は「お腹が大きくて / 重たくてしんどい」だけではありません。
が、これについては長くなるので次回の記事で書こうと思います。

座れたらできれば座りたいなと思いつつも、私がマタニティマークをつけるのをやめたのは、以下の理由からです。

① マタニティマークを付けていても席を譲ってもらえない
② マタニティマークに気付くのは座席に座っていない立っている人
③ かつ同じ妊産婦か年配の方、つまり優先席を必要としている人が気付く

まず①について。
これは私がこれまでの妊娠期間中の半年ほど、マタニティマークを付けて関東や関西の以下の路線で試した結果です。

・東京メトロ(日比谷線、南北線、半蔵門線など)
・JR東日本(山手線、京浜東北線、東海道線)
・JR西日本(大阪環状線)
・阪急電鉄(宝塚線、京都線)

平日の真っ昼間や休日の午前中など、そもそも座席が空いているときはもちろん座っていました。

試したのは平日の帰宅時間以降や土日の夕方以降の混んでいるときなど、車内で空いている席が少ない or 全席埋まっているときです。

試したのがこのコロナ禍で、通勤ラッシュ時間帯は避けて乗るようにしたので、車内がぎゅうぎゅう詰めのときは乗っていません。
乗車率でいうと80%〜110%程度、座れない人が出てくる、各座席の前に人が数人いる程度です。

一度だけ、私のマタニティマークをみて席を譲ってくれた方がいらっしゃいました。阪急電鉄・宝塚線の某駅です。
しかしその方は、他にも優先座席や普通座席が空いている中でご自身が一番広い区画に座ろうとしていたのを譲ろうとしてくれていたので、
私は大丈夫ですとお断りし、他の優先座席に座りました。

しかし座席を譲ってもらったのはその1回きりで、普通座席はもちろんのこと、優先座席でおそらく優先座席の対象でない方が座っている場合でも譲ってもらうことはありませんでした。

特につわりがひどい時や、貧血の中仕事場からの帰り道で重たい荷物を持っているとき、
優先座席が空いているから座ろうかなと思ったときに横からすっと入ってきて座ってゲームをはじめたらしいおじさんに遭遇したときには、
絶望感を覚えました。

おそらく「自分が一番疲れている」という考えに囚われて周りを見ることなんてしないのでしょう。自分の奥様やお子さんが一緒にいても同じ行動を取るんだろうか、自分のパートナーや周りの人がそんな人じゃないといいなと心底思いました。

こんなことを言うと「じゃぁ妊婦は電車に乗るな」とかいう人がいるかもしれないのですが、私達がその電車に乗る理由はあなた達と一緒なんです。

その電車に乗らないといけないから、乗っているんです。
乗らなくていいのであれば、乗りたくないんです。

次に②、③について。
何度かマタニティマークに気付いてもらったことがありました。

しかしそれはあくまで立っている人だけなんです。

座っている人のほとんどは
・スマホを見ている
・あるいは見ているフリをする
・寝ている
・あるいは寝ているフリをする
人たちで構成されています。

もし気付いてくれたとしても
「自分じゃなくて他の人が気付いて譲ったらいいや」と思うのでしょう。
そして、優先席に座るときに「ここは優先席だ」と認識して座る人もいないのでしょう。

立っている人たちもスマホを見ている人が多いと思いますが、座っている人に比べてその割合が少なく、気付いてくれる人がいました。

私が「申し訳ないからマタニティマークをつけるのをやめよう」と思ったのは、この②、③のケースに遭遇したからでした。
具体的には、平日の夕方18時すぎに仕事帰りで東京メトロのある路線に乗ったときでした。

私はその日買い物袋と仕事用かばんを持って電車に乗りましたが、案の定どの席も埋まっていました。

乗った場所が優先座席がある、かつ車椅子やベビーカーを付けられるスペースがあるゾーンで、貧血かつ荷物が重かった私はせめて荷物だけでも床におきたく(背が低くて荷物を網棚にあげることができないため)、
立っている人の合間を縫って広いスペースの一番奥、隣の車両との連結部分の手前に立って手すりのところに荷物を一部おき、立っていました。

すると、目の前に立っていた、おそらく70代くらいの新聞を読んでいた男性がちらりとわたしの方を見ました。
そして私の体と青ざめた顔、そして仕事用かばんについているマタニティマークを見ました。

その男性は何気なくわたしの様子をみて新聞に視線を戻しましたが、数秒後に「端っこにきますか?」と声をかけてくださいました。

私はご厚意はとってもありがたかったのですが「ここで掴まれるので大丈夫です、ありがとうございます。」と言ってお断りしました。

男性は頷いてまた視線を新聞に戻しましたが、本当に優しい方なのでしょう、
新聞を読んでいても気になったのか、新聞越しにちらちらと私の左側にある優先座席のほうを見るようになりました。
新聞を読み終わったあとも座席があかないか、停車駅がくるたびに確認するようにちらちらと座席を見ていました。

そして私の隣で立っていた私よりおそらく年上の女性も、やりとりか私のマタニティマークか男性の視線に気付いたのか、ちらちらと優先座席のほうを見るようになりました。

しかし優先座席に座っている男性3人は気付く様子もありません。
ゲームをしているか、動画でも見ているか。

自分の降りる駅まで20分程度、私は気付いてくださった方々に対してすごく申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

気付いてもらっても、その方たちは譲る席を持っていないのです。
そして
「どうして譲ってあげないんだろう」
「座っている人に声をかけたいものの無視されるんじゃないか」
「もし声をかけていちゃもんつけられたら困るよな」
などと悶々とさせてしまっている、
無力感を感じさせてしまうだけなんだな、と気付いたのです。

このことがあってから、私はマタニティマークをつけるのをやめました。

気付いた人が無力感を感じる、そんな仕組みは世の中にたくさんあると思いますが、自分のせいで優しい方々に無力感を感じさせてしまうのは嫌だと思ったからです。

その代わりにこの記事を書いて、体験を残すことにしました。

もしこの記事を読んでくださって、少しでも公共交通機関内で自分が座っている周りに席を必要としている人がいないか見回してくれる方が増えたら、
とても嬉しいです。

次は、妊産婦が座りたい理由について書こうと思います。
ではでは👋

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