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6歳の子供に説明できなければ、理解したとはいえない#16「火星は日中、赤く、夕方、青い」

映画「オデッセイ」でもわかるように、火星は日中、ぼやっと赤、オレンジ色の空、かなり埃っぽい。地球は、当然、昼間は空は青い。この違いはなぜか?

説明の前にまず前提として太陽の光ってどんなもの?から始める。一言でいえば、すべての色(波長)を出して光っている、ということだ。青もあれば、黄色、緑、赤、全部の色を出していて、それで白っぽく明るく見える。で、色というのは光の波長で決まっていて、波長が短いほうが青、長くなってくると赤になる。

次の前提としては、波というものは障害物があると、波長が短いものは長いものに比べて、真っ先にはじかれてしまう、ということ(散乱する、という)。障害物が波長と同じぐらいのスケールだとして、波長が短いときには、その障害物にぶつかってしまい、あっちこっちにはじかれる。一方、波長が障害物よりやや長い場合、それを乗り越えられる、というか、すり抜けることができて透過する。

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いよいよ、空の色の説明に入る。まず、地球の場合、太陽光は地表に到達するまえに、大気を通過する。大気は、窒素、酸素、二酸化炭素とかの分子の成分からなっている。日中は太陽は上のほうにあり、光が大気を通過する距離が短い。その距離がちょうど地表付近で青色の波長の光が散乱されるぐらいなので、空が青くみえる。じゃあ、夕方は?夕方は太陽が地平線に沈んでいき、大気を通過する距離が長くなる。距離が長いと、青い光はほぼ散乱してしまって、より波長の長い赤い光(~オレンジ色)が散乱されずに地表に届く。なので、夕日は赤く、空も赤く染まる。

じゃあ、火星は?火星の大気は非常に薄い。地球のような分子はほとんどなく、もっと大きい砂塵が舞っている。障害物のスケールが光の波長よりかなり大きいので、今度は赤い光もこの障害物にはじかれてしまう。昼間はこの赤い光の散乱が火星の地表付近で起こるので空は赤っぽくみえる。夕方になると、さきほどの説明と同じように、長い距離を通過するので、赤い光も散乱してしまって、塵にぶつからなかった青い光が届いて、空が青くみえるのである。

そのうち人類が火星に移住するようになると、夕焼けが「赤い」のではなく「青い」という表現になる。このように常識がひっくり返るのは宇宙スケールならではの話でおもしろい。

※参考:ナゾロジー「火星の夕焼けはなぜ青いのか?

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