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老プログラマーは死なず、ただ消え去るのみ

人工知能プログラミング言語、prologの最後のプログラマー、エヌ博士。彼の半生を語っておこう。

「人工知能(AI)」が専門分野のみでしかみかけられなかった時代。博士はすでにその潜在能力を十分に理解して研究に励んでいた。ただ、その時代ではコンピュータの能力が貧弱であり、多くのアイデアがあっても現実には実証できず、ある意味、”変わった人”扱いされ相手にされなかった。

そういう不遇の時代が過ぎ、やがて世界は「AI」の文字を見ない日がなくなるほど人工知能が発達してきた。人工知能に使われるプログラミング言語も大きな変化を遂げた。以前は、prologと呼ばれるAIに適した言語が盛んに使われてきたが、コンピュータの発達とともに、特段、その言語を使用せずともAI技術は実現できてしまうようになった。手続き型言語と異なり宣言型(論理型)言語であるprologは、そのコーディングの難しさなどからどんどんすたれてしまい、とうとう最新のOSに対応可能なものは1つの会社だけになってしまった。

その1つの会社内でも、prologをメインに用いているのはエヌ博士のみになってしまっている。通常の業務システムを構築するにあたって、prolog言語は多くの開発者にとってハードルが高すぎ、また、各種ライブラリも十分ではないので使われないのだ。
ただ、エヌ博士の主な業務、会話のような自然言語処理に特化したものならばprologは最強の処理系言語であり、現役で動作しているのだ。現に、マイルストーン的ロボットの頭脳にはprologが使われた。その他、よくある質問に答えるチャットボットにも使われている。

そのエヌ博士も、もうかなりの年齢になってしまった。また、最新OSに対応していくことも困難になってしまった。そろそろ長年、付き合ってきたprologとのお別れも近い。
そこで、エヌ博士は恩返しをしたいと想うようになった。思い返せば、人工知能分野にどっぷり浸かったのは、SF小説(特に星新一、JPホーガン)、マンガ、アニメの影響が大きく、そして、prologという人工知能に特化したプログラミング言語に出会ったことがきっかけとなった。

博士のモットーは、「お金では買えないものに価値がある」だ。その流れで、今後、若者たちに夢や希望を与えられるような、想像力をかきたてるみなもとを持ってもらえるようなコトバを残したいと心の底から想っている。



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