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ハードSFの書き方15(SFと魔法の違い~成熟した科学技術は魔法と区別がつかない~)

「十分に成熟した科学技術は魔法と区別がつかない」とは、アーサー・C・クラークの有名な言葉だ。なのでSFと魔法について厳密にその違いを議論するつもりはない。多くのサイトでも言われているように、両者の区別はかなり曖昧だ。
SFは現代科学に沿った空想科学であり、基本的に物理法則に従いつつ、現在の理論では説明できなくともルールに従ったストーリー展開がなされる。。一方、魔法やファンタジーの世界では、超自然的なものや、物理法則を無視した展開もなされ、基本的にルールというものが存在しないことが多い(異論は承知の上で)。
厳密には区別がつかないものの、1つの物語の中でこの2つを混ぜてしまっては読者は混乱するだけだ。それは回避すべきだ。
例えば、重力について考えてみよう。現時点では重力は完全には理解されたとはいえないが、重力を作り出したり、消したりできる何らかの装置が発明されたとしよう(SF的発想)。その装置を使って、人間は空を飛べたり、また、宇宙空間での生活では重力を発生させて地上と同じような生活ができるようになっている、というストーリーが可能だ。ただし、そこで新たに作り出した重力に限り、瞬間移動ができる、だの、重力から直接電力が取り出せる、だの、超自然現象(魔法)を混ぜてはいけない。ただ、以下の場合はOKだ。魔法の剣があり、超常現象を起こすことが可能、のような設定があったとする。その説明の際に、その剣はもともとは隕石から作られたもので地球上にはない鉱物があり、その特性として超常現象が起きる、のようなある種の疑似科学的根拠を持ち出すのは問題ないとおもう。
このnoteを読んでいる読者はSFやファンタジーが好きなのかもしれないが、かなりの多数の人は、そんな有り得もしないことを仮定して話が進むストーリーなんて興味がない、という感じなのではなかろうか。ではドラマとか恋愛ものとかどうなのか。宇宙の始まりから始まって二人が「必然的」に出会うなんて、それこそ「有り得もしないこと」ではなかろうか。
自分の結論はただ一つ:「面白いと感じる方が一人でもいらっしゃるのなら、それで満足です、SFだろうがファンタジー、その他かなりの空想恋愛ドラマでも、スポーツ根性ものでも」

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