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レベルアップで立ちはだかる障害

選手がレベルアップすればするほどそれ相応の緊張度があり、レベルアップのスピードが早いほど緊張という壁は大きい。

自分が達成できなかった全国大会出場。
選手コースを担当し始めて3年目、今夏に1人目の全国出場選手を輩出することができた。

先月行われた大会では、2人目が全国標準を突破し、いまは3人目(Aちゃん)が全国標準にあと0.2秒まで迫っている。

Aちゃんはこの夏ぐらいまでは平凡なタイムの子で、県でも10番以内に入るぐらいの子だった。そんなAちゃんが全国を目前にし、一昨日行われた九州カップという九州最高峰の大会では3番に入ったのだ。

そこそこの選手だった子がこんなに成長するなんて、これほど嬉しいことはない。いけいけゴーゴーの気分だ。

しかし、グンと伸びることは良いことばかりではない。

一昨日の大会は初めて出場した大会。予選決勝なんてものは初めて経験した。
Aちゃんにとっては、遠くにあった高い壁が急に目前に迫ってくるような感じだ。相当戸惑っていた。

初めて経験することばかりで、ましてや全国標準が目の前に迫っていることもあり、Aちゃんは今までしなかった緊張が爆発的に襲ってきたらしい。(私も相当緊張しっぱなしだが)

今まで大きいレベルの大会や予選決勝の雰囲気を味わったことのある子は、緊張との付き合い方などを知っているかもしれない。

Aちゃんのように急に伸びた子はそんな術すら知らない。コーチのわたしも、何がAちゃんをゾーンに入れてあげれるのかわからない。

先月始めの大会では、全国標準まであと1秒以上あったのが、月末の大会で一気にあと0.3秒まで詰めた。そこから格段に緊張度が増したと言う。

一昨日の大会ではベストを更新して0.2秒まできたがめちゃくちゃ緊張したと言い、泳ぎも萎縮していた。自分の泳ぎができたら、突破できていたかもしれない。

緊張することは意識的にもレベルが上がっているので、いいことだとは思うのだが、狙っている側からすると歯痒くて邪魔なものでしかない。

選手にとっては世界が急に変わるのだから、そうなっても仕方がないのだが、そうも言っていられない。全国標準突破の期限は今週末と迫っている。今週末に切れなかったら出られない。

あと0.2秒。たった一瞬をこの1週間でどう詰めるか。
そんなことを考えている私が心臓バクバクである。

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