[ベトナム1041日目] 外国からの借入金: 短期と中長期の違いと注意点

外国からの借入金は期間によって2つに分けられます。1年以内のものは「短期借入」、1年を超えるものは「中長期借入」に分類されます。企業は、使用目的や財務状況に基づいて、中長期借入を直接行うか、初めに短期借入を行い、その後で中長期借入に切り替えるかの選択が可能です。

中長期借入」の利用条件

中長期借入」を利用するためには、2つの条件が必要です。

「中長期借入」の利用条件

国内借入金を含む中長期借入金の総額は、投資登録証明書(IRC)に記載されている総資本金と払込資本金の差額を超えることは許されていません。また、ベトナム中央銀行での借入の登録が必須となっています。特に、2022年11月15日からは、この借入登録の内容に一部変更が加えられているため、詳細を改めてご確認いただくことをおすすめします。

① 登録書類の提出期限

中長期借入金の合意書の締結日、または短期借入金を中長期借入へ延期するための合意書の締結日から、30営業日以内が設定されています。

② 担当部門

・ 借入金額が1,000万ドルを超える場合:ベトナム中央銀行に属する外資管理部
・ 借入金額が1,000万ドル以下の場合:営業所が所在する市や省の中央銀行

③ 登録書類

・ 借入金登録書(中央銀行発行の雛型)
・ 投資登録証明書(IRC)と企業登録証明書(ERC)※公証版
・ 中長期借入に関する合意書の締結日または短期借入から中長期借入への延期に関する合意書
※ベトナム語翻訳公証版
短期借入から中長期借入へ切り替える場合は、上記に加えて以下の書類も必要である。
・ 最初の短期借入金の入金、返済状況に関する取引銀行の確認書
・ 最初の短期借入金の使用、返済計画に関する報告書・証明資料

I-Glocal メールマガジン

④ 審査期間

・ オンライン申請:受領日から12営業日
・ オフライン申請:受領日から15営業日

短期借入には中央銀行への登録が不要で、これにより企業は至急の資金が必要な場合に短期借入を検討することができます。しかし、もし将来的に中長期借入に切り替えることを考えている場合、初めの短期借入に関する使用や返済の状況を詳しく説明する必要があり、このため登録の手続きは複雑になり得ます。また、外国からの借入を行った後、企業は毎月、その使用や返済の状況を中央銀行に報告する義務がある点も注意が必要です。

参照

政令 219/2013/ND-CP
通達 12/2022/TT-NHNN
通達 03/2016/TT-NHNN

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