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「ペイル・ブルー・ドット」からPR視点を学ぶ~PR目線暮らし

仕事を通じてコミュニケーションのあり方に思いを馳せたり、趣味を通して社会や世相を読み解いたり。日常をPR目線で観ることは、PRパーソンならきっとどこかで意識していること--ということで、新シリーズ「PR目線暮らし」をスタートします! 観察や感性がキャッチした“新しい世界”や、ふとした疑問や興味を起点に導かれた“気づき”などについて、オズマグループ社員が縦横に語ります。

こんにちは。オズマグループ ピーアールコンビナート所属の二味です。
今回の執筆は新シリーズの初回を飾るものと聞いており、とても光栄に思っています!

日々新たな学びを得る中で、自らの関心領域を起点にPRの在り方に向き合ってみました。まだまだPRパーソンとしては“パダワン”なわたくしですが、広くPRに興味のある皆さまに、気楽に読んでいただけますと幸いです。

周囲には『スター・ウォーズ』好きを公言しておりますが、単にスペース・ファンタジーにロマンを抱いているだけではありません。

「宇宙」というと、SF映画のイメージで空想・ドリーミーな印象と、近年のイーロン・マスク氏、ジェフ・ベゾス氏、前澤友作氏などの大実業家たちによる宇宙開発事業の成り行きをみると、少し縁遠いモノに感じてしまいがちですが、この市場規模はさらに成長していく見込みですし、学術的な領域は今最も熱い分野なのでは?と個人的に思っています。

これから先、研究開発に関しても伸びしろしかありません。なにせ謎を解き明かしていくサイエンスの分野で、我々はいまだに宇宙がどう構成されているのか数%しか知らないのですから。

私が入社に至る過程の中で、オズマグループにシンパシーを感じた一部に、名前の由来があります。(ほんの一部ですよ?)

電波を使用して地球外知的生命体探査を行うという「オズマ計画」。調べると、「オズとエメラルドの都」に登場するオズマ姫が、オズと電波で連絡を取り合おうとしたことにちなんでいるそう。物語の一節からの命名なんてシャレてますよね。

宇宙開発の名称は、ガリレオやハッブルなど天文学者の名が付けられたり、最近ニュースになった火星探査機「Perseverance」(忍耐)といったワードがよく付けられます。

火星探査機の歴代名称なんかは、スピリット(生命力)、オポチュニティ(好機)、キュリオシティ(好奇心)、インサイト(洞察)と、火星への並々ならぬ情熱が伝わってきます(日本は「はやぶさ」「かぐや」など渋い)。スタートレックの”U.S.S.エンタープライズ”(ここでは「冒険」の意)も、ちゃんとそれに倣っているトコロが憎いです。

かなり遠回りしましたが、今回のテーマである「ペイル・ブルー・ドット」(冒頭の写真)は、「航海者」(voyager)と名付けられた宇宙探査機ボイジャー1号が役目を終えたカメラをシャットダウンする直前に、地球の方向に振り返らせて撮影されたモノ。※画像はNASA提供

(ボイジャーはその名に恥じず、発射から40年以上を経た現在も、太陽圏を脱して星間空間を飛行しており、地球から最も遠い距離に到達し続けている人工物。)

この中央右にぼんやりと浮かぶ、淡く、青い、小さな点が、30年以上前に、約60億キロメートルの宇宙の彼方から撮影された地球です。

プロジェクトチームの反対を押し切ってこの撮影を提案した、天文学者であり作家でもあるカール・セーガンは、「はるか彼方から我々のこの小さな世界を捉えたこの写真ほど、人類のうぬぼれた愚かさを実証するものはないだろう」と、著書に記しています。

私が最も尊敬する偉人の一人であるカール・セーガンは、科学者でありながら、コミュニケーターとしての才能も持ち合わせていて、「オズマ計画」同様、地球外生命体との交信として、いつの日かボイジャーが何者かに発見・解読されることを期待して、地球の存在を伝える情報が刻まれた【ゴールデンレコード】を搭載する発案に、クリエイティブ・ディレクターとして参加しています。※画像はNASA提供

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また、彼の最も印象的なエピソードとして、人類初の人工衛星「スプートニク」が打ち上げられた直後、惑星探査活動で持ち込まれる地球物質によって、他の惑星が汚染されるのを防止する「惑星保全の基本原則」を打ち出しました。悲惨な世界大戦を経験した彼の視座の高さと行動力に頭が下がる思いです。

個人的にはグローバル化で経済の相互依存が進むこの世の中において、今一度、宇宙に目を向ける必要があるんじゃないかと思うトコロがあります(宇宙学は、天文学・生物学・物理学・量子力学など様々な分野を含む)。

無限に広がる宇宙の中で(今でも宇宙は膨張し続けている)、我々は小さな点の中に生きています。

その視点において、過去の大戦にみる領土の奪い合い・東西対立、人種差別やコロナ禍におけるアジア人へのヘイトクライムでさえ、宇宙人視点だったらバカバカしすぎて笑えます。

少なくとも太陽系には知的生命体はおろか、生命の存在すら怪しいです(はやぶさ2やパーサビアランスで得たデータの解析が楽しみです)。

そういう意味で地球に人類が誕生し、ここまで発達した技術と文明が生まれたことは、宇宙の中で極めて稀です(割合で言ったらもはや0のレベル)。桑田佳祐さんとミスチルが歌ったように、まさに”奇跡の地球”なのです。

人間は自分たちの知能と技術・ノウハウの蓄積以外には、地球が生み出す資源、太陽から受け取るエネルギーを頼りにするしかありません。このまま人類が経済活動を拡大していけば、映画『インター・ステラー』の世界のような、荒廃したディストピアが待ち受けているように思います。

昨今盛り上がるSDGsなどの活動や、コロナ危機を考える際に、宇宙に想いを馳せることで、このかけがえのない小さな点を、慈しむ心も芽生えてきますし、新たな気づきを与えてくれます。

個人に語りかけていき、感情を揺さぶる広告的アプローチとは異なり、社会に問題提起し、意識・行動変容させていくPRアプローチでは、こうした”視点”が役に立つのでは?と、PRパーソンとしてはまだペーペーの自分ですが、ぼやっと考えています。

コルクの佐渡島庸平氏や教育事業も手掛ける伊勢谷友介氏も、過去にこうした”宇宙人視点”の必要性を語っていたりしました。

宇宙事業の関係者はなにも、地球資源には限界があるから、新たなフロンティアで領地・資源を獲得し、人間の活動範囲を広げて、さらに豊かになろうとしているわけではありません。

この宇宙の謎を解き明かす中で、地球という唯一無二の惑星や人類の存在意義を見出し、多くの人に伝えることで、人類全体の意識・行動変容に寄与していくのだと思います。

これからより大局的・包括的に、次世代やもっと先の未来を見据えて企業の事業・人間活動を考えていく上で、今夜はスマホを見る視線を空に向けて、はるか彼方に想いを馳せてみてはいかがでしょうか?

フォースと共にあらんことを!

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ピーアールコンビナート株式会社 PR2部 二味 崇(ふたみ たかし)
2020年オズマグループに入社。広告制作会社のデジタル部門にて、企画営業職としてキャリアをスタート。大手航空系旅行代理会社や大手音楽レコード会社などのクライアントや、主要広告代理店との案件を中心に、デジタルキャンペーン・プロモーションのプランニング、デジタル/SNSマーケティングといった戦略設計などの上流業務から、エグゼキューションのディレクションまで、幅広く担当。
アカウント業務で養ったクライアント意向の汲み取りを丁寧に行いながらも、デジタル領域で培ったインタラクティブ視点をインストールさせるプランニングが強み。昨今の統合コミュニケーションやPR発想が必要とされる中において、特に企業やブランドの“社会での存在意義”を問うことの必要性に駆られ、PRの門を叩く。現在これまでの経験を生かした独自のPR像を模索しながら、日々奮闘中。

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