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根暗そうな文体がすき
文体の好みについて。
内容や構成ではなく、語彙の選び方や漢字/ひらがなの使い分け、句読点の位置みたいなそういう、文章の音楽的な部分。
この曲を聴くと寂寞感に襲われる理由とか、この絵画を見ると胸が締め付けられる理由とか、そういうのと同じように言語化しにくい、ごく個人的な感覚的好悪。
自分の文体が一番すきだと思えるのが理想で、たぶんそのために私はnoteを書いている。
小説でも、その一冊を越えて作家を好きだと思うのは、中身よりも文体に惹かれた時の方が多い。
noteでそういう記事や書き手の方にたどり着くにはどう調べたらいいんだろうなというのが最近の関心ごと。
で、どういうのがすきかというと、まず根暗そうな文体がすき。
書き手が、ではなく、あくまで文体が。
パッと出てくるのは夏目漱石とか、あのあたりの文豪たち。
文体だけでなく実際に鬱々としてた人が多い印象だけれども。
あるいは、臆病なほどの繊細さが透けて見えるとか、読みやすいのにクセが強いとか。
自己陶酔感が滲んでいても、突き抜けていれば面白い。
具体的には、日本語としては正しい、もしくは敢えてルールを破っていることがわかるけど、どこか時代がかっていたり、目に馴染まない独特の言い回しだったり。
単語は平易なのに、使い方にセンスしか感じないような。
ただひたすらに美しい語彙と文章ももちろんすきで、それで言うと浅田次郎大先生様。
あの語彙の豊富さと美しさよ。
日本語が第一言語である幸運を、噛み締めざるを得ない。
『神坐す山の物語』は題材と雰囲気がツボなのもあるけど、何度も読み返してる数少ない小説。
あとは村上龍。
あの苛烈さ、読み終わるとヘトヘトになっている過剰なエネルギー。
それはでも、文体だけじゃなく内容もだな。
一般的に文体と内容の温度や属性は、ある程度コントロールできるものではあるだろうけど、無意識だとちぐはぐになったりするのかな。それとも普通は一致するのかな?
一致するとしたら、まさに滲み出るその人そのものって感じでおもしろい。
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