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尾瀬のミニ観察~第9回~

前回は、「ワタスゲ」を紹介しましたが、今回は「タテヤマリンドウ」についてご紹介します。

(9)「タテヤマリンドウ」
(果実:6月~7月)

 尾瀬ヶ原が最も美しいのは雨の日だ。そして植物たちは晴れた日とは違う振る舞いを見せてくれる。
 雨の日、花は閉じているが、それとは反対に実が開く。淡黄色で楕円形の唇を大きく開いて雨粒を待つ。唇の中にたまった雨水の底には、胡麻のようなタネが沈んでいる。この唇の中に大きな雨粒が落ちると、タネは水と共に遠くに弾き飛ばされるのだ。と、書いたが私はその飛び散る現場を見ていない。運よく雨の日にタテヤマリンドウに出会ったら、観察してみませんか。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2010年6月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ツルニンジン」についてご紹介します!