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尾瀬のミニ観察~第2回~

前回は、「サワギキョウ」を紹介しましたが、今回は「キンコウカ」についてご紹介します。

(2)「キンコウカ」

 昆虫をちょっとだます花だ。
 この花には蜜がなく、花粉を運ぶマルハナバチやハナアブへの報酬は花粉だけ。花粉は昆虫にとって蛋白質に富んだ貴重な食品だが、蜜とは違ってその再生産はできない。花は花粉がなくなっても昆虫には来てもらいたいので、雄しべに花粉のような肌触りの、金色の細かい毛を沢山生やして「花粉がまだあるよ」と昆虫をだます。この花に出会ったら虫メガネで、昆虫を誘う花の工夫を、是非見てください。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2008年9月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「エゾリンドウ」についてご紹介します!