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尾瀬のミニ観察~第14回~

前回は、「コオニユリの雄しべ」を紹介しましたが、今回は「ヒメシャクナゲ」についてご紹介します。

(14)「ヒメシャクナゲ」
(花期 6月~7月)

 花はなぜ下向きに咲くのか。主な理由は2つある。
1.蜜や花粉を雨から守るため。雨にあうと、蜜は流され、花粉は破裂して役立たなくなる。でも下向きなら、雨は降りこまないから。
2.チョウやハナアブの仲間を排除するため。チョウは口が細く雄しべ雌しべに触れずに蜜を吸う。アブは花間の移動頻度が低い。ともに迷惑な昆虫だが、下向きの花に止まるのが苦手なので、受粉効率のよいハナバチに多くの蜜が提供でき、受粉してもらえるのだ。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2012年3月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ミズバショウの花に来る昆虫は?」についてご紹介します!