構音(発音)障害

構音障害の種類

構音障害は原因の違いから,次の3つに分類されています.
(1)器質性構音障害
発声発語器官の形態の異常が原因です(小児ではたとえば,先天性の口蓋裂,成人では舌(ぜつ)がん が主な原因).
(2)運動障害性構音障害(dysarthria,神経・筋性発話障害)
発声発語器官の運動を制御する神経の損傷(脳梗塞(こうそく),脳出血など脳血管障害が主な原因),筋自体の疾患(筋ジストロフィーなど)が原因です.その結果として,構音に必要な口腔,咽頭,喉頭,呼吸器系に麻痺などの運動機能異常が生じます.                    運動障害性構音障害のある人では,一般に発音ということばからイメージされる子音,母音の構音だけでなく,構音に必要な呼吸・発声の困難(声のかすれ,小さくなる,一息で言える文が短い,等)もみられます.そのため,この(2)は正確には「構音」障害ではなく,発声・発語障害ということになります.
(3)機能性構音障害
(1)の器質的異常,(2)の神経・筋の明らかな異常が認められない場合です.幼児期に多くみられ,発達過程で特定の子音の構音が未習得な状態,または幼児期に身につけた誤った構音動作が習慣化,固定化した状態で,それが成人期まで持ち越されることもあります.             

構音/コミュニケーション障害と言語聴覚士


いずれの構音障害も,言語聴覚士(ST)が検査・支援(構音練習など)を担当しています.
言語聴覚士は,病院のリハビリテーション科のほか,耳鼻咽喉科,形成外科,歯科などに所属していますが,お子さんの発音のことが気になる場合は,まず,かかりつけの小児科や,耳鼻咽喉科などを受診し,STがいる病院等を紹介してもらう方法があります.

小児の構音練習は一般に4歳ぐらいから可能になります.しかし,練習が必要かどうか,いつ始めるのがよいかは個人差がありますので,まずは相談されるといいと思います.
練習終了までにかかる時間にも個人差があります.母音だけで話している(りんご→いんお)など,未習得の音が多い場合には4歳前後など少し早めに,一方,サスセソ(さ行音)など特定の音に限られている場合は小学校入学の1〜2年前ぐらいに相談を始めるとよいでしょう.

(1)の器質性構音障害と(3)の運動障害性構音障害は疾患が原因ですので,構音の練習が必要な場合は,通常,主治医から言語聴覚士との練習,リハビリを勧められます.(了)   

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