終点の先へ、もういちど。
JR岡山駅から列車で南に1時間。海が見えたら、そこは終点の宇野駅だ。
かつてはこの先にも線路が続いていた。
宇高連絡船。線路が搭載された船に列車ごとズドンと乗り込み、瀬戸内海を渡って高松駅に繋がる「海の鉄道」が存在していた。瀬戸大橋が出来て間もなく、宇高連絡船は需要が減り幕を閉じることになったが、現在もこの港町では当時の面影に出会うことができる。
そんな宇野の街巡りや島巡りに、連絡船に見立てた10台のレンタサイクルを。この地で一度、「道具としての終点」を迎えた鉄たちを集め、熱して叩き、実際に乗車できる自転車に再生させた。塗装色はかつての連絡船の色。後輪上の文字は船名を示している。
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…というコンセプトを掲げ、乗車できるアートを展開したのが6年前。乗り物である以上、定期的なメンテは欠かせません。それでも今も作品が存続できているのは、地元の方々のサポートのお陰です。
瀬戸内国際芸術祭2022に向けて。
このレンタサイクルの作品は、設置場所がこれまでと変わります。宇野駅西側にちょっとした広場があって、そこで展示&レンタル運営をするかたちになります。…に伴い、作品に追加で自立式のサインを作りました。
瀬戸内海は穏やかな海と言われていますが、とはいえやっぱり港町。風が強い日も多いです。その環境でも倒れないように、「上は賑やか、下はスッキリ」な見た目にしつつ、重心は可能な限り低く。このサインのトータルの重さは約24kgで、そのうち20kgは下の四角いプレートが占めています。
今回作った自立式サインと合わせて3点。全て、小さな自転車オブジェと書体が共通項になっています。特に自転車オブジェは作品本体と同じく、この地で集めた鉄の廃材で作りました。リニューアルされる度に芸が細かくなってるのがミソです。
4/14、開幕します。
芸術祭の楽しみ方はたくさんあります。僕からもひとつご紹介。
アートをきっかけに現地の風土や営みに触れられるのが芸術祭の醍醐味ですが、これは一方通行な話ではありません。アーティスト達も同じ様に、現地特有の風土・文化に触れ、そこで受けた刺激が創造の種になっています。気になる作品に出会ったら、「創造の種は何だろう?」と、宝探ししてみて下さい。港や島々、海、船、歴史…そして人々。きっと、いろんな場所から見つかるはずです。
▶︎芸樹祭公式サイト
▶︎旅色FO-CAL
▶︎KEIRIN HOTEL 10
宝の地図に、熱いリンクを3つ貼りました。良い旅を!