見出し画像

<映画の紹介>『遠すぎた橋』(77年)

 年末になると、なぜか上映時間の長い大作映画を見たくなります。

 今年見たのは『遠すぎた橋』(77年)。ノルマンディー上陸作戦から3ヶ月後の1944年9月に行われたマーケット・ガーデン作戦を描いた上映時間3時間近い大作です。監督はリチャード・アッテンボロー。『ガンジー』(82年)でアカデミー作品賞とアカデミー監督賞を受賞した人です。俳優もやっていて『ジュラシック・パーク』でハモンドの役で出演しています。

 この映画の特徴は、大規模な作戦の全体像をオールスター・キャストで描いたところ。ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ローレンス・オリヴィエ、エリオット・グールド、マイケル・ケイン、ダーク・ボガード、ショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンス、マクシミリアン・シェルなど、スターがこれでもかと出てきます。ポスターにスターの顔がずらりと並ぶ、この手のオールスター映画はこれが最後だったのでは。

画像1

 もうひとつの見どころは、CGのない時代の物量にものを言わせたスペクタクル。空を埋め尽くすパラシュート部隊の降下シーンもそうですが、僕が好きなのは、ホロックス中将(エドワード・フォックス)とバンドルール中佐(マイケル・ケイン)が会話しながらジープを走らせるシーン。沿道に無数の戦車や装甲車が延々と並んでいるのを長回しで見せます。改めて見るといくつかのカットに別れているので、同じところを何度も走って撮影しているかもしれませんが、それでも相当な数です。作り手が「すごいだろう」と言っている感じが楽しいです。

 マーケット・ガーデン作戦は失敗した作戦です。なので意気揚々と出陣して行った連合軍の兵士たちがどんどん悲惨な状況になって行きます。市街戦のシーンも多く、普通に生活している市民の家のドアがノックされ、開けると兵士が立っていて「すみません、戦争するのでお宅を接収します」と言われ、家が戦場になってボロボロになって行くという他ではあまり見ないシーンもあります。

 この映画の難点は、大きな作戦の全体像を描こうとするので、それぞれの位置関係や状況がわかりにくいということです。地図を挿入するなどでわかりやすくする方法もありますが、この映画はそれをしていません。「これでわかる」と思ったのか、「わからせる必要がない」と思ったのかは不明です。

 もうひとつの難点は、第二次大戦を描いた映画ではありがちなことですが、ドイツ軍の戦車がでたらめなことです。実車が残っていないので何とかしてごまかす方法を考えるしかなく、どの映画でも苦労している点です。この映画では現用戦車のレオパルトにハリボテをかぶせてパンターに似せていますが、割とはっきり映るのでバレバレなのが辛いです。しかしこれは戦車に興味のない人には全く関係のない話です。

画像3

画像4

※上はこの映画に出て来るなんちゃってパンター戦車。下が実際のパンター戦車

 難点もありながら、この映画にはどこか上品な感じがあります。メインの登場人物がイギリス人だからでしょうか。僕は割と好きな映画です。これからもときどき見たくなる作品でしょう。

画像5

※ときどき昔の映画とかテレビドラマを紹介しようかと思います。普通の名作よりはオタク好みの作品が多くなるかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?