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『【歌ってみた】花を唄う【covered by 山神カルタ】』感想

にじさんじに所属するライバーで見習い烏天狗の山神カルタさんの歌ってみた動画、『【歌ってみた】花を唄う【covered by 山神カルタ】』の感想記事です。


本記事は歌ってみた動画の内容、様々な要素の説明、個人的な解釈を含みます。
読んでいただく前に必ず動画の視聴をお願いします。

(下記、歌ってみた動画リンク)


この記事を書く際に、にじさんじwikiの山神カルタページや配信アーカイブのタイムスタンプコメントなど、参考にさせていただいています。
日々wikiを編集してくださっている方、配信アーカイブにタイムスタンプ付きコメントを残してくださっている方、本当にありがとうございます。

また、この記事に対する意見・苦情・批判・誤字脱字の指摘についてなど、何かありましたらコメントいただけますと幸いです。



さっくり感想


初めて聴いた曲でした。

全体を通して裏打ちハイハット+4つ打ちのシンプルなドラムがベースになっていて、跳ねるような思わず歩き出したくなるような、リズムもメロディーも両方楽しめる聴いていてとても楽しい曲だと思いました。

聴いていると歌詞はどこか切なかったりして、そういうところにも山神さんの歌声がよく合っていたように感じました。



今回の歌ってみた動画に関わったクリエイターの方々


今回の歌ってみた動画のイラストをご担当されたのは、on℃さんです。
動画概要欄にはSNS等へのリンクの記載はありませんが、個人のHPは見つけることができました。
同名の別人でない限りはこれが正しいと思うので記載します。
(以下、HPへのリンク)

HPを拝見したところ、個人Vの有栖川叶さんのMVイラスト、同じく個人Vの錦野流さんのキャラクターデザインや、個人でASMR音源・動画の制作をされている村瀬巴さん、エルゼ・フォン・エーデルシュタインさんのASMR動画のイラストを描かれている方だそうです。

今回の山神さんの歌ってみた動画と今までon℃さんが携わった作品を色々見て回って感じたのは、美麗なイラストを描かれる方だということはもちろんのこと、きらきらと目の中に光が輝いて綺麗で印象的な瞳を描かれる方だ、ということでした。

ただ私がこう感じたのは、今回の山神さんの歌ってみた動画を見た時に最初に目が留まったところ・目を惹かれたところが山神さんの瞳だった、ということが大きいのかもしれません。


動画を担当されたのは『鳴宮ユキ』さんです。
鳴宮ユキさんは、今までの山神個人の歌ってみた動画全てに動画担当として関わっていらっしゃいます。
山神さん以外にも他のにじさんじライバーの方の歌ってみた動画を数多くご担当されているので、気になった方はHPや、YouTubeの再生リストをチェックしてみるのをおすすめします。
(下記、Youtube再生リストへのリンク)

後述しますが、今回の歌ってみた動画の演出は本家MVをめちゃくちゃリスペクトしていると思います。
画面の上下左右から歌詞が飛び出してきたり、突然モノクロ調になったり、印象的で目が引かれる演出でした。

原作のMVをリスペクトしつつ、歌詞の出し方にオリジナルとは異なる工夫が見受けられたり、山神さんの歌ってみた動画でのオリジナル要素である「ラスサビで花の色が薄ピンクから黄色に変わる」というところに合わせて文字色を変えているところなど、視覚的に楽しめるところが多く、とても良かったです。

「鳴宮ユキ」という名義は「七瀬ゆき」が動画制作を行う際の名義だそうで、「七瀬ゆき」のアカウントの方で、今回の歌ってみた動画の映像について呟かれていました。
(以下、ツイートへのリンク)



Mixを担当されたのは『02(れつ)』さんです。
山神個人の歌ってみた動画では、前々作の『夜行』、前作『君が夜の海に還るまで』に続いてMixを担当されています。
(下記、HPへのリンク及びツイート引用)

全体的に主旋律とコーラスとのバランスがとても良くて聴きやすかったです。
2番の最初と落ちサビのところの声の加工もめっちゃ良かったです。

MIXの音作りによるところなのかは正直よくわかりませんが、裏打ちのハイハットの音が原曲よりも輪郭がはっきりしている気がしました。
シャリシャリしたハイハットの音は耳心地が良く、個人的にめっちゃ好きな音でした。



原曲の紹介


『花を唄う』はシノさんが作詞曲した楽曲で、2021年1月28日にYouTube、ニコニコ動画に投稿された曲です。
(以下、YouTubeへのリンク)


この曲は、スマートホンの音ゲー『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』 (通称『プロセカ』)内でのキャンペーン、第2回 楽曲コンテストプロセカNEXT(募集テーマ「春に聞きたい曲」)に採用された楽曲です。

このキャンペーンは一般公募のコンペティション企画で、採用されるとゲーム内に楽曲が収録される、というものだそうです。

勝手ながらシノさんのツイートをざっと拝見したところ、シノさんの活動開始は昨年の11月から、そして楽曲の制作・発表は今までに3曲でこの曲が2曲目ということで、この方は今まさに注目度がどんどん高まっていく段階にある新進気鋭のコンポーザーだ、と思いました。

また、この企画への採用を第一目標として活動を始めた、ということも呟かれていて、そのことを考えると自分の制作した楽曲が採用された時の感慨もひとしおだったんじゃないかと想像されます。
(以下、ツイートへのリンク)


私の個人的な感想ですが、『花を唄う』は、思わず歩き出したくなるような跳ねるようなリズム最低音のlowF#から最高音のhiF#まで音域が幅広いことが特徴的で、そこが印象に残る曲だと思いました。

Aメロラストの臨時記号の使い方や、2番の「知らないところで 君は一人で 大人になってゆく」からのおしゃれな転調(臨時記号?)や、その後のフレーズではなんでもない顔をしてすっと元の音階に戻るところなど、半音階の扱い方がめっちゃおしゃれで個人的にめちゃくちゃ好きなところです。

また、曲のラストもがっつり転調していて、

嬰ヘ長調(F#) ⇒ ヘ長調(F) ⇒ 変ヘ長調(F#)⇒ ト長調(G)

と、半音ずつ上がったり下がったりしています。
こことかもう、個人的にめちゃくちゃ好きです。


投稿されている他の曲も個人的にめちゃくちゃ好みでした。

『VOCODER』は、初音ミクらしいと言ってしまえば陳腐かもしれませんが、世界の拡がりを感じられるようなメロディーや雰囲気で、それに対して割と鬱屈とした歌詞とのギャップが印象に残る曲でした。

『dear night town』は、今までの曲とは一転して怪しげな夜の街を感じさせるような雰囲気で、所々に音を歪ませているところや何かが迫ってくるような効果音があって、より一層怪しげなムードを高めてくれるような曲でした。

興味がある方はぜひ聴いてみてください。
(以下、YouTubeチャンネルへのリンク)


また、イラストをご担当された「s!on」さんは、YouTubeにて『花を唄う』のイラストメイキング動画を投稿してくださっています。

(以下、動画へのリンク)




個人的な原曲のざっくり解釈


私なりに『花を唄う』の歌詞について解釈してみたいと思います。

この曲の歌詞は一人称視点で書かれていて、登場する人物は「私」と「君」の二人です。

歌詞の中で「私」は一貫して「君」について語っています。
自分が相手に向ける笑顔について自嘲的に語ったり、

それでも私は あの花のような笑顔で
君と笑うの 偉いでしょ?
(Aメロ)

感情的になりながらも「私」は「君」のことを求めています。

待って? 届かないけど
ねぇ、待って 舞って 待って 言ってたって
去って きっと 泣いて 咲いて
待って 舞って 待って 言ってたって
去って まって まって
(ラスサビ)

「待って」とは言っていますが、実際のところ自分が相手にとって不釣り合いであることを認識しているようなこと・自分の希望が相手に受け入れられないことがわかっているようなことも言っていて、結局「私」は相手の幸せを優先させることを選んで二人の関係は終わりを告げたのかな、と思いました。

ねぇ、待って? 届かないなら
私はただ君の幸せを願おう
これでいいって自分に言い聞かせるの
(サビ)


この楽曲のテーマがプロセカ企画の募集テーマに沿った「春に聞きたい曲」であること、歌詞とMVイラストに桜の花が登場し、その花が咲く季節について描写されていること、「恋」や「夢(夢見の花・夢見草)」のキーワードと共に「私」と「君」の関係の終わりについて書かれていること、それらを鑑みると、春という季節に必ずつきまとう人との別れ、その中でも恋慕の感情が関わる別れの物語について書かれた詞なんだろうと思いました。

「私」が握っていた「夢見の花」が最後に「夢見草」に変わっているところや、「あの花のような笑顔」の「あの花」は「桜」なのか「夢見の花」なのかなど、解釈を広げようと思えばまだまだ考える余地がありそうだと思います。

ですが、色々と頭の中で考えを巡らせていたら辻褄が合わなかったり、文章にしてもいまいち要領を得ないことが出てきたりして段々混乱してきてしまったので、この辺りで一旦止めておこうと思います。


また、シノさんのツイッターを拝見していたところ、YouTubeのコメント欄をスクショして反応を示されているツイートがありました。
歌詞の制作の経緯についても述べられているツイートもありました。
解釈の参考になるかと思いますので、記載しておきます。
(以下、ツイートへのリンク)



歌詞の言葉選び


私がこの曲の歌詞で特徴的だと感じたところは、一般的には言葉遊びと呼ばれるような、同音で意味が異なる言葉をわざと読み替える表現が歌詞の物語の文脈上においても効果的に使われている点です。

口遊んで ⇔ 口、杜撰で
待って ⇔ 舞って ⇔ まって
希う ⇔ 恋、願う

ぎなた読みや掛詞はダジャレのようなものとして扱われたり、稚拙で厨二的な表現だと揶揄されることもままありますが、この歌の物語、「私」と「君」の物語の文脈上においては、必然性がある表現であると思います。

・口遊んで ⇔ 口、杜撰で
⇒「私」と「君」の関係の変化に伴う言葉遣いについて「杜撰」になってしまうようなネガティブな変化
・待って ⇔ 舞って ⇔ まって
⇒「君」の存在を「私」の手の届く範囲に繋ぎ留めたい欲求が表れている「待って」、桜の花びらが舞う情景の描写の「舞って」、あえて平仮名で書くことで感情的に言葉が口をついて出てくるような表現の「まって」
・希う ⇔ 恋、願う
⇒「君」が幸せであればいいと切望する「希う」と、「私」が望む形での「私」と「君」との恋愛感情が関わる関係の成就を願う「恋、願う」


こういうことを考え始めると、そもそも曲名『花を唄う』の「唄う」についても、なぜ「歌う」ではないのか、という疑問が浮かび上がります。

ここでなぜその字を使うのか、なぜその漢字をあてるのか、あえて常用ではない漢字を使った表現を目にした際にはその理由が知りたくなります。

ぱっと見た感じや見た目の良さや常用漢字ではないという異質さやインパクトを重視してその字をあてているのか、同じ読み方だとしても漢字そのものが持つ意味の違いを理解して使い分けているのか、個人的にはそういうところが気になります。

その疑問を解決するためには『漢語林』や『大漢和辞典』のような辞典を引いて、使われている漢字の成り立ちや意味を確認するのが最もいい解決策だと思いますが、如何せん手元にないので、参考として漢字文化資料館HPの記事を記載します。
(以下、大修館書店 漢字文化資料館HP内の記事へのリンク)

この曲の物語が割とセンチメンタルで情緒的であることを考えると、個人的には「唄」の字を使うのも納得だという感じがします。



山神カルタの歌ってみた動画について


今回投稿された山神カルタの歌ってみた動画『花を唄う』と原曲MVを比較することで、色々とわかることがあると思います。

共通点は原曲リスペクト要素、相違点は山神カルタ独自のオリジナル要素として、それぞれについて考えてみたいと思います。


原曲リスペクト要素


今回の歌ってみた動画における原曲リスペクト要素として言及したいのは以下の点です。

①基本的な動画の演出
②主旋律とコーラスの全体的なバランス

上記事項はクリエイター紹介の項目でも述べました。

「①基本的な動画の演出」ですが、曲の進行と共に歌詞がフォントの大きさも位置もランダムに配置され登場する演出は、基本的には原曲MVと同じでした。

「②主旋律とコーラスの全体的なバランス」ですが、こちらは個人の音楽を聴く環境によって大分印象が違うところがあるかと思います。
はっきりとこれがそうだ!とは言及しづらいですが、少なくとも私の環境で聴く限りでは、原曲のバランスに近い音作りをしているのかなと思いました。


オリジナル要素


今回の歌ってみた動画における山神カルタのオリジナル要素として私が言及したいのは、以下の3点です。

①イラストの構図
②曲の最後のイラストの変化(花の色が変わる)及び歌詞の文字色
③裏打ちハイハットの音がシャープ


「①イラストの構図」ですが、原曲MVのイラストを担当されたs!onさんのイラストを見ると、初音ミクを思わせるような肩にかかるくらいの長さの青い髪の女性が、自らの手の中に抱えた花を伏し目がちに見つめています。

周りの桜の花の色と合わせているのか、それとも光に照らされているだけなのか、髪の先の方や一部は、やや薄いピンクがかった色をしているようにも見えました。

対して山神さんのイラストを見ると、髪は耳の下よりは長く顎よりは短いショートカット、山神さんの綺麗な琥珀色の瞳はまっすぐこちら側を向いていて、指でつまんだ花の花びらは唇に触れるか触れないか、というところです。

今までの山神さんの歌ってみた動画のイラストを見ていると(今回の場合は『ヨヒラ』を見返してみるとわかりやすいと思いますが)、背景やモチーフとなる景物についてはそのままに構図やポージングだけを変える、ということをよくやっている印象があります。

歌ってみた動画はカバー作品ではありますが二次創作的な側面もあると個人的には思っています。
原作をリスペクトしつつ何らかのオリジナル要素を入れ込もうとすると自然とそうなるのかもしれないな、とも思います。


「②曲の最後のイラストの変化(花の色が変わる)及び歌詞の文字色」ですが、原曲にイラストが差し変わる演出はありませんし、大きく表示される歌詞の文字色はピンク色のみです。

対して山神さんの歌ってみた動画では、画面のなかにある花(手に持っている花、背景の花、舞う花びら)全てが、画面がモノクロ調になってから暗転する演出を経て、薄いピンクから明るい黄色にガラッと変わります。

そして山神さんの方の大きく表示される歌詞の文字色は、濃い目のピンクと黄色の二色でした。
歌詞の文字色はイラストが差し替わる前から二色だったので、花の色が切り替わる伏線としても機能する演出なんじゃないか、とも思いました。

曲の最後、盛り上がっている場面でイラストを差し替えるというのは山神さんに限らず割とよくある演出の手法だと思いますが、やはり初見時はそういうことをつい忘れてしまうもので、視覚的なインパクトの強さに驚きました。


「③裏打ちハイハットの音がシャープ」についてですが、こちらも音の問題なのではっきりとそうとは言いきれない感じがします。
前述したように個人的にハイハットはシャリっとはっきりした音でリズムを刻んでくれる方が好きなので、この違いがいいか悪いかは人によると思います。



歌ってみた動画解釈①(初見時)


今回の動画を初めて見た後、私の中に一番に浮かび上がった疑問は「なぜ最後に花の色が変わったのか」でした。

歌詞に登場する「桜」や「夢見の花」以外の花がオリジナル要素として登場したのかもしれないと思って黄色の花を片っ端から調べてみたり、イラストが変わったときに手に持っている花のがくの形は変わっていないので同一品種で薄ピンクと黄色どちらの色味も存在する花はあるのだろうかと思って探してみたり、シノさんのツイッターを遡っている時に桜の花と菜の花の写真付きツイ―トを見つけてここから着想を得たのか?これが正解なのか?とか思ったり、色々考えていました。

花を調べる作業もどん詰まりになって、改めて原作MVのイラストと山神さんの歌みた動画のイラストを見比べていた時に、どちらのイラストにも共通して、目から涙が流れ落ちたかのような、おあつらえ向きな位置に花びらが一枚描かれている、ということに気づきました。

それに気づいた私の頭の中に出来上がったのはその瞳からこぼれた涙を通じて瞳の色が花に移って色が変わった」という妄想の仮説です。

ただ、今までの経験からこういった思いつきは得てして外れるということを私はよく知っています。
そして、自分の目の見える範囲の物事・事実を自身の感情に都合よく関連させて結びつけてしまうのは浅慮なオタクの悪いところだとも思います。

ですが、大っぴらに声高に「これに違いない!」と叫ばずに自分の心の中に留めておく自制心がはたらいていれば周りの迷惑にもならないのでいいかと思って、これをとりあえずの結論とすることにしました。



歌ってみた動画解釈②(雑談配信視聴後)


歌ってみた公開後の山神さんの雑談配信内で、背景に描かれている花が何だったのか、ということについて言及されていました。
興味がある方はぜひ、アーカイブを視聴してみてください。
(以下、配信アーカイブへのリンク)

サムネにもなっている最初のイラストに描かれている薄ピンク色の花はヤマザクラ(山桜)、イラストが切り替わった後の黄色い花はヤマブキ(山吹)だということです。

どちらの花もヤマ(山)がその名称に付いていて、苗字に山を冠する山神さんにぴったりの花だと思いました。

"山"神カルタだから"山"桜と"山"吹、という共通点を見出して、その面白さだけを感じて納得して終わりでも全然いいんだろうとは思います。

妄想、余計なお世話、拡大解釈、考察厨と揶揄されるような自己満足なのかもしれませんが、個人的な興味からこの二つの花についてもう少し深堀りしたいです。



ヤマザクラとヤマブキ


この二つの花について、それぞれの花の花言葉、開花時期を調べました。

それぞれの花の花言葉は、

ヤマザクラ:「あなたに微笑む」「純潔」「高尚」「淡白」「美麗」
ヤマブキ:「気品」「崇高」「金運」

だそうです。
(以下、参考サイトへのリンク)


それぞれの花の開花時期は、

ヤマザクラ:4月
ヤマブキ:4~5月

だそうです。
(以下、参考サイトへのリンク)


振り返り配信で述べられた背景に描かれている花の種類及びその花言葉や開花時期の情報と、これまで記事内で述べてきた要素(原曲MVと歌ってみた動画のイラストの構図が違うこと)を併せて考えると、花の色が最後に変わる理由や山神さんの動画のイラストの構図について、先ほど述べたような妄想ではない、自分なりの解釈が出来そうだと思いました。


ヤマザクラとヤマブキ、二つの花の開花時期を比べると若干重なるところはありますが、開花の順序としてはヤマザクラが先でヤマブキが後になると思います。
この曲で語られる「私」と「君」の物語は、二人の関係の変化を描写していると先に述べました。
関係が変化するということは時が経つから、時間が経過するということが大前提ではないでしょうか。
花の色が変わる(=ヤマザクラからヤマブキに変わる)ということは春という季節の中でも時間が経過しているということで、物理的な時間の経過に伴って「私」と「君」の関係の変化があったことを描写していることに他ならないのではないでしょうか。


山神さんの動画のイラストは原曲MVのイラストと違っていて、伏し目がちではなく凛々しくまっすぐこちらを見つめています。
ヤマザクラの花言葉である「あなたに微笑む」「美麗」、ヤマブキの花言葉である「気品」、この辺りの言葉は今回の山神さんの歌ってみた動画のイラストを見て感じる印象に近いものではないでしょうか。


今回、山神さんの髪は普段とは違ってショートカットになっていました。
普段より髪が短い、つまり髪を短くしたということで、これは失恋をしてしまった際に気持ちを切り替えるために行われることの一つです。
(雑談配信で山神さんは「ウィッグを被ってショートカットにした」と言っていました。メタ的な言及になりますがこれはライバーが自撮りや自身のイラストを「写真」と呼ぶような類の便宜上そう言った、もしくはそう言うしかない場合の発言なので、実際に髪を切った云々の整合性についてはここでは考慮しません)



自分の髪の毛をまるで失恋した時のようなショートヘアーに変えて、まっすぐこちらを「あなたに微笑む」ように「美麗」で「気品」がある表情と構図のイラストを使って、山神という自分の苗字に関連した名称にヤマ(山)を冠するヤマザクラとヤマブキという二つの花を使って、その色の変化で春という季節の中での時間経過と「私」と「君」の関係の変化を描写した、これが山神カルタなりの『花を唄う』の解釈で、歌ってみた動画『花を唄う』に込められた山神カルタのオリジナリティではないでしょうか。



最後に


雑談配信の中で、個人的に興味深かった山神さんの発言がありました。

(一青窈さんの)『ハナミズキ』がめちゃくちゃ好きで(カラオケで)よく歌っていたんだけど、『ハナミズキ』の一番高いところが出なくて、ずっと前、悔しくてぼろぼろマジで泣いていた

いまこう、(自分の歌ってみた動画の)『花を唄う』を聴いてみると、なんか(高音が)出るようになってるんだと思ってね、なんか成長を感じましたね

(雑談配信アーカイブ 7:46 辺り~)

ちなみに、今回の歌ってみた動画『花を唄う』の最高音はhiF#、一青窈『ハナミズキ』の最高音はhiC#です。

また、ライバー活動を通じて自己肯定感の向上が感じられている、ということも述べていました。

前もなんかめっちゃ言ってるけど、配信を始めてから自分の声が好きになったのと、自分が歌ってる歌が好きになったな、っていうのはめっちゃ思う

だから今回の歌ってみたも、すごい、自分で、あーいいな、って思うし

(雑談配信アーカイブ 1:04:32 辺り~)

今の自分を俯瞰して客観視した時に自身の成長を実感したり、今の自分の状態をポジティブに受け止められるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。

言うのは簡単で実現するのは難しいことかもしれませんが、これからも山神カルタが自身の活動を継続していく中で、胸を張って良いと言えるような配信をしたり歌ってみた動画などの作品を制作していって、一介のリスナーの立場である私がそれを見せてもらえるのであれば、これ以上のことはないです。

早速、五月に新しい歌ってみた動画の公開を控えているそうです。

次回の山神カルタの歌ってみた動画もとても楽しみにしています。


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