2022/11

2022/11/02
ジョージ・オーウェル『一九八四年』読んだ。面白い。けど現実はさらに過酷であるとも思える。2022年の自分からすれば王道中の王道中って感じだけど、当時的にはどうなのだろう。オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』も買ってあるので読む。

本文も面白いけど、トマス・ピンチョンの解説がかなり面白かった。あえて言えば「考察」的な部分もすごい。批評と「考察」が正しく組み合わさるとこんなところに連れていかれるんだと思った。解説によって、まさしく付録だったテキストが、重大なストーリーの一部分として機能し始め、テーマの意味を深める。スゲー。

2022/11/06
いい加減バキバキのiPhoneに嫌気が差し、ビックカメラに行ったらUQ MOBILEにMNPでiPhone SE3が1円のキャンペーンをやっていたのですぐに変えた。常に気持ち感電していたぐらい背面もバキバキだったので快適この上ない。何より、画面のサイズがちょうど良い。携帯を変えたワクワク感はほとんどない代わりに、ストレスがゼロになった。Touch IDもいい。まだたまにアホな顔でフロントカメラをマジマジと見てしまうけど、振り返ればあれも微妙なストレスだった。

2022/11/08
オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』読んだ。テーマが明快で良い。なんというか、読んでる時に最近見た『サイバーパンク:エッジランナーズ』を思い出した、サイバーパンクではないけど。あとゲームの『COCOON』。

イエスがフォードに変わって十字架がT字になるとか、ギャグ的にも確かに読めるけどあんまり笑って読むような感じではノれなかった。あんまり現実と重ねて読むのも良くないというか、読み違える気がするんだけど、どうしても重なる部分はあり……。

2022/11/13
ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』読んだ。ハードSFだけど、ミステリ的な仕立てでエンタメチックで面白い。『天の光はすべて星』と同じぐらいラストがカッコ良い。人生論というか幸福論というか。ライバル役?的立ち位置のダンチェッカーとの対立〜協調も非常にエンタメ的で良し。

一つ発見があるたびにいくつも謎が生まれ、仮説と実験、調査を繰り返す非常に研究的な方法で物語が駆動していくのもワクワクして楽しい。やっぱり研究者というか、そういう生き様って格好いい。そこには嘘がないし、ロマンがあるというか、それこそエモーションの世界だよなあと思う。

2022/11/15
https://note.com/hoshinomaki/n/n1c2fd844ed21

レイ・ブラッドベリもまず1000日間本を読めとさ。別に“クリエイティブ”になろうと思って読みたいわけではないけど、まあ事実今の自分に必要なものがあると思って読んでいるところもあるので「そうだよねえ」という感じ。

あと、ここで暗に言っているのは積読のすすめということだと思う。毎日本棚から何かしらつまんで読むためには、まず積んであることが必要になる。読んでないけど『積読こそが完全な読書術である』で言っていることもそういうことだろうと勝手に思っている。

似たようなもので『読んでいない本について堂々と語る方法』は読んだことがあって、これは本当に良い本だった。知ったかぶりということではなくて、積読も、ちらっと読んだことあるだけのものも、タイトルだけ知っているものも、どれも立派なさまざまな読書の一形態なんだよ、という本。

そもそも本なんて一回通読しただけではすぐ忘れちゃうので、読んでいると読んでいないの境界って曖昧なもんである。読んだ、という行為よりも、テーマなりなんなりを本と紐づけて、自分の中でマップを作っておいて、必要な時に読めば良い。そのためにはタイトルを知っておくことも重要だし、本棚に積んでおけばパッと目につくし、著者について知っていれば「あの人これについて書いてそうだよな」と見当がつく。俺は映画も音楽もこれが全てだと思うので、例えば前に書いたように1,000冊読むとかみたいなことは衒学的だと思うけど、まあ自分にいま必要だと思っているので、それで良いことにする。

で、俺は最近SF名作みたいなのばっか読んではいるものの、その他の古典にも当たりたいとは思っていて、例えば最近読んだ『カフカ寓話集』も、分からないなりに良かったのでもう少しバランスは考えて読んでいきたいところ。

2022/11/16
何かを選ぶのがとても苦手である。

俺はもともと書くことが好きで、今やっている仕事も書くことに関わっていて、昔からバイトやインターンでもそういうことに関わっていた。音楽ライターの講座なんかにも通ったりしていた。この日記でもいくつかそういうことは書いたと思う。当時は音楽について書きたいと思っていて、仕事はまあ音楽でなくても書くことに関わっていれば良いかなと考えていて、そうしてきた。ただ、仕事をするにあたり自分の年収の天井が見えてきたり、音楽について書きたいというより音楽を通して何かを書きたかったということに気づいたりして、端的に言えば自分のキャリアを考え直している。別に今の仕事はある程度続けるつもりでいるけど、もっと長期的な意味でこのままで良いのかを考えている。

大量に本を読もうと考えたのは、今の家に引っ越して本が読みやすくなったのも関係しているけど、上述の悩みも大いに関わっている。俺は書類周りの手続き等が本当に苦手で、全てを先送りする癖があるので個人事業主はかなり向いていない。一方で組織的に働くのも当然向いていない。どちらも向いていないなら、一人で書くことを仕事にできれば納得はできるんではなかろうか。それなりに編集や校正、ライターの仕事はやってきたので、多少のスキル的な貯金もある。

では3~5年後とか10年後に一人で書くことを仕事にするには、いろんな引き出しが無さすぎる。じゃあしばらくは本を読もうか、となった。ここで俺は選択する必要がある。本気でやるなら、朝まで飲んで翌日を潰している場合じゃないと思う。楽しくてやっているDJだけど、音源にめちゃめちゃ金が消えていくし、準備と当日と酒で週末が潰れる。別にそうやって遊ぶことが無駄なことだとは思わない。ただこれまで十分遊んできたし、今の俺は家にこもって、黙々と自分のことをやるべきなのでは? そのように考えるなら、そうすれば良いだけのことだ。それが難しい。俺は誘惑にとても弱い。それに、そうやって遊んできたことで良い友達とも出会えたし、得られたものも多い。友達と会えないのは寂しい。だからなかなか踏み切れない。

別にもっと遊び方を考えれば良いだけの話かもしれない。週末にランチするとか、夜ご飯食べて帰るとか、そのぐらいで済ませれば良いし、おそらく多くの人はそうやってるんだろうと思う。ただ、一回遊ぶとブレーキがぶっ壊れるんだよなあ。一度アクセルを踏むと何かにぶつかるまで止まれない。

何かもう少し大きい話を書こうと思っていたのに、お酒が上手に飲めないという話になった。まあ、もう少し友達を信じて、なるべく一人でやることをやっていきたい。3年とか5年会っていない友達も結構いるけど、俺はその友達たちのことは今でも好きだし、会いたいと思うのでみんなもそう思ってくれると良い。

これまでぼんやりとしか書かなかったけど、はっきり言えば俺は作家というものに憧れている。かっこよすぎ。選ぶのが苦手だから余計思うのだろうけど、俺の好きな作家たちは、彼らなりの何かに全てをささげているように思う。その生き様が俺は素晴らしいと思うし、言ってしまえば人生とはそういうことだと思う。何か一つのことを見つける、というわけではない。そんなものは幻想だと思う。人の考えは変わるし、間違っていたことに気づくこともある。ボールを投げ続けることそのものが重要。だから俺もそうしたい。

土井善晴的な一汁一菜の考えって、なんでそれをやってんのか自分はわかってんのか?という問いかけだと思っていて、自分の食べているものを理解すること、自分が何ができているのかを知ること、自分が何をしているのかを自分の中で理解すること、自分のものを取り戻すということだ。そこにおれはフィールしたわけだけど、そう考えると時代は進んでいるが人間の立っているところはひどく後退したなあと思う。

2022/11/18
家計簿が続かないという話を彼女にしたら、「家計簿っていうか、全部でしょ」と指摘された。本当にその通りである。考えてみると、人生で続いてると言えることってDJぐらいで、最近やっとこの日記がメンバー入りしたぐらいか。俺は本当にすぐ飽きてしまう。

家計簿は何度もチャレンジしてるんだけど、いつも3日も続かない。いくつものアプリや連携を試したけど、最終的に全く管理しきれずアプリ上の残高と手持ちが全く合わなくなって修正するのが面倒くさくなる。

そもそもスマホでそういうことを管理するのがまず向いていない気がしてきたので、スプレッドシートにお手製の家計簿を作ってみた。デスク横にはレシートボックスを設置。中途半端に連携されるから、まあまあ現金を使う俺としては帳尻合わせが面倒くさくなるのであって、いっそ全部手入力する方が続くし、家計を見直すことにもつながるんではなかろうか、と考えた。

27歳の目標の一つに「いい年して給料日前に慌てない」とこっそり掲げているので、今度こそは続けたい……。

2022/11/21
昨日は韓国のインディーロックバンド、off the menuの来日イベントでKATAに行った。いろいろドタバタしている話を聞いていたので大丈夫か、と思っていたが終わってみれば成功と言っても良いのでは。彼らにとっては初の東京でのライブだったので良い思い出になってくれると良いな。

終わった後はびっくり寿司で朝3:00まで打ち上げ。彼らやっぱり酒が強く、黒霧島のボトルを速攻で開けてました。恐ろしい。音楽とかアニメとか日本と韓国のスラングとかひどくどうでも良いことで盛り上がり楽しかった。韓国行きたいな〜〜。

2022/11/23
昨日は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』読んだ。はい。俺はこのレベルでSFを全然読んでいませんでした。

期待してたよりは面白くなかった。松屋ぐらいの感じである。松屋はうまいけど、うまいものを期待していく店ではない。満足度はある程度高い。

というのもあまりテーマにハマれなかったからかもしれない。『月は無慈悲な夜の女王』もちょっと自由主義色が強すぎて、面白かったけどそこまでノることができなかった。でもそれこそアンドロイドにまで感情を移入できる人間が、なぜ人間を殺すことができるのか。それは終始描かれてるように相手を客体として物化することで、世界と自分の世界の繋がりを絶ってしまうから。だからその意味で“ていねいな暮らし”ってちゃんと意義があるというか、ロマンとか美学みたいなものって重要よねと思う。

渋谷駅前にカップラーメンと缶チューハイが散乱していた。昨日は祝前日だし大いに飲んだんだろうなあと思うけど、青春の光景が道端と缶チューハイ、カップラーメンなのか……と思うと本当に貧困を感じる。今彼らは多分エネルギーをどこに、どうやって向ければ良いかも分からないし、自分たちがその身にとんでもないエネルギーを宿していることもわからないのだと思う。

2022/11/30
『ニューロマンサー』『クローム襲撃』と立て続けにギブスンを読む。ニューロマンサーは言わずもがな、Chrome襲撃に収録のスプロールシリーズやその他の短編も面白い。とくに「ニューローズホテル」が好き。これもエッジランナーズじゃないですか?と言うより、エッジランナーズも映画の攻殻も露骨にギブスンの影響を受けていたのだなと実感を持つ。



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