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31歳になる前に、髪を30cm切った
31歳の誕生日を迎えた。
その前日、胸より長く伸ばしていた髪を耳のところまでのばっさりショートにした。
これまで大事に伸ばしてきたけれど、もう必要ないかという感覚になり、ほとんど衝動的な感じで切ってもらった。
長さにして30cmだ。手に持たせてもらった髪だったものは、力なく床に落ちていく。
中学生から髪を長く保つことが多かったので、美容院の鏡に映る自分が自分でなくなったみたいだ。
周りの床を埋め尽くすように落ちている髪を見て、早まったか?とちょっと不安になる。
時間をかけてアイロンで伸ばしたり、コテで巻いてみたり。毎朝大変だったけれど、綺麗にできた時は満足感があった。日々の丁寧さというか、女性らしさを保つことは良いことだから。
女性らしさってなんだろう。
わたしは誰にそう言われたんだろうか。
「子ども、考えてないんですか?」
前に、職場の若い子から、人懐っこい笑顔で聞かれたことがある。
これはただの世間話、嫌味でもマウントでもないし、深い意味もない。それは分かっているけれど、もやんっと心に引っかかるものがあった。
子どもがいない=考えてない、じゃない。
むしろ、考えて考えて考えて今この状態なんだよ、と本当は言いたかった。
家族や友人より遠い関係の人からの言葉の方が、ふとした瞬間に思い出される。
その度に心がウッとなったり、怒りや悲しみが湧いてきたり、やってられない。
見た目や人生設計のことに触れられても、さらっと流せるかっこいい人になりたい。
髪を切ったことで、前よりカジュアルな服が似合うようになった。上品な膝丈のスカートより、太いデニムに手が伸びるようになった。
無意識のうちに私の中で形成されていた「女性らしさ」から、離れることの爽快さを知った。
31歳、記号に縛られず、自分の足で自由に楽しんで生きていきたい。
「髪切りました?いいですね!」
立ち寄ったかかりつけの薬局で、受付の方が声をかけてくれた。これまで挨拶しか交わしていない人だ。嬉しかった。
夕日に照らされて暑かった帰り道、首筋を撫でていく風の気持ち良さを、忘れない。
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