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おはようアリス
目の前に広がるのは、ビスケットとマシュマロでできた森。
私に挨拶のキスをするそこに住む動物達。
おはようアリス
おはようアリス
グミでできた木の実と、チョコレートのナッツ。
黄昏時の空みたいな紅茶をいただきながらみんなとお茶会をする。
りんごみたいに真っ赤な靴を履いて、ウサギとクルクル踊る。
ひとしきり笑って、たくさん踊ったら、芋虫の吐く糸でハンモックを作ってそこにゴロンと横になる。
目の前に広がるのは、綺麗な小瓶に入った虹色のジュースとクッキーが置いてある大きなテーブル。
植木鉢にちょこんと座っている色とりどりの花達がくすくす笑いながら挨拶をする。
おはようアリス
おはようアリス
私の大きさを見て、そんなに大きかったら遊べないわと嘆く彼女達に勧められるがままジュースを飲み干す。
いくら飲んでも小さくならない。気持ちが悪くなってその場に倒れた。
床はふかふかの絨毯が敷いてあって大きなフラミンゴが私に毛布をかけてくれる。
身体が痛い。
目の前に広がるのは、沢山の本棚。
そしてその上に座るたまごみたいなおじさん。
こんなにも身体がが痛いのにおじさんはずっとニコニコしている。
なんだか無性に腹が立って本棚を蹴り倒したら、たまごみたいなおじさんは本棚から落ちて地面に叩きつけられた。
中から白っぽいドロリとした液体が流れ出ているのにまだ笑っている。
おはようアリス
おはようアリス
逃げるように出口に走り出してドアノブを捻っても、ガチャガチャと音がするだけで開かない。
おはようアリス
おはようアリス
白い液体は次々と流れ出てドロドロと私の体を飲み込んでいく。
バスタブの栓を抜いた時みたいに、ぐるぐる、ぐるぐる、渦になって白い液体に包まれながら私は流されていく。
目の前に広がるのは、飲みかけのペットボトルのお茶と、カバンが置いてあるテーブル。
そして私の部屋。姿見に映る寝起きの私。
おはようアリス?
アリスでいられたらよかったのに。
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