昭和だったらしばかれてた。

中学の頃、部活の顧問の先生は女子部員が髪の毛を伸ばしていると「色気づきやがって」と非難してきた。

先生の見た目は如何にも体育会系。
ビール腹ではあるが、50代にしてはガタイがよく(背は低い)、ハリネズミみたいなチクチクした短い髪の毛に、スポーツサングラスをかけていた。
左手首には3つくらい数珠をつけてて、毎回ジャラジャラと音を鳴らしながら、部員たちに指導をしていた。
私はその数珠が目に入る度に、先生は変な壺とかも買わされてるんじゃないかと少し心配になった。

先生の担当科目は数学。
数学が大嫌いな私に、大嫌いな先生が教えるその時間は本当に苦痛だった。
問題を順番に生徒に当てていき、答えられなかったら、「こんなんも分からんのか」「ちゃんと聞いとけよ」などと睨みつけながら後ろの生徒をあてる。

当時は縮み上がり、先生に嫌われたらどうしようとか、放課後の練習は必死に頑張らなければいけないとか、先生の顔色を伺いながら過ごしていた。

今思えば馬鹿馬鹿しく、なぜそこまで先生を崇拝してる風に毎日怯えて過ごしたのか不思議だが、本当に怖かったのだ。

そんな先生に怯えながら3年間部活動に励み、卒業後は特に会うことも無かった。

妹が私と入れ替わりで入学し、同じ部活に入った妹によると、部員たちの部活対する意識が低く、それまで大会でも名を馳せていたけど、結果を残せる選手も少なくなり、荒みにすさんで先生は50代半ばにして、パーマをかけたらしい。
色々と言いたいことがあるが、先生にも事情があるんだろう。
はっちゃけられなかった今までの人生で、勇気を出してパーマをかけたことは、先生にとって大きな一歩だったのかもしれないし。

それからは一度も会うことなく、今に至る。
私は中学のこの経験により、嫌な奴とは関わらない術と、自分の精神が落ち込むまで続けることは何もないということを学んだ。






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