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北朝鮮に渡った日本人妻

日本人妻を知った


最近において北朝鮮の話題やニュースといえば、ミサイルや軍事衛星の打ち上げなどが主になっており、日朝の交流はほとんど途絶え、拉致問題も進展のニュースは流れてきません。
2002年小泉純一郎首相が北朝鮮を電撃訪問して、蓮池薫さん夫妻と地村保志夫妻と曽我ひとみさんの5人を取り戻し、のちにそのご家族も帰国し、大きな成果を上げたことは多くの人の記憶に残っています。その二年前の1990年に、副総理などをつとめた金丸信議員を団長とする自民党と社会党の合同訪朝団、金丸訪朝団が北朝鮮の金正日総書記を訪問していいます。私は金丸訪朝団の事務局長だった武村正義衆議院議員に帰国後、単独でインタビューしました。(武村議員は滋賀県知事から国会議員になり、後に細川政権の官房長官などをつとめました)
武村議員は「北朝鮮への帰還事業で、朝鮮人の夫ともに北朝鮮に渡った日本人妻がいる、彼女らは苦しい生活しているらしい、そして、日本人妻を援助する団体があることを聞いた」と話してくれた。日本人妻という言葉を聞くのは初めてだし、援助している団体があることもこれまで聞いたことがなかったので、取材すれば、いいニュースになると思い、まず、外務省に問い合わせてみました。
けんもほろろの対応でした。「ときどき、そんな団体がときどき来るが、名前も連絡先も知らない」電話口からはそんな言葉しか聞こえてきません。違うだろうと思いつつも、言い争っても仕方ないので、知っている人を探すことにしたら、官房長官をつとめたこともある森山真弓議員がご存知らしいと聞いた。さっそく、森山議員にあたってみた。
森山議員はていねいに「日本人妻自由往来実現運動の会あり、池田文子さんが代表をされている」と連絡先も教えててくれました。池田さんからは滋賀県内の日本人妻を数人御紹介していただき、彦根市出身のAさんのご親族宅に連絡をとりました。
開口一番「手紙は無心の手紙ばかりですよ」、「食べ物、衣類、送ってくれというものはたいてい送っています」「でもね、とてもうれしい返事が来ると、向こうで困っているんだろうなと思い、できる限り要望に応えるようにしているんです」と手紙の束を見せながら、話していただきました。極寒の地で、飢餓や寒さに苦しみながら、異国で生きるつらさや苦しみに耐えている様子は、親族のお話や手紙や写真だけでは到底伝えきれないだろうが、何とか原稿を書き、収録ビデオを編集したことを覚えています。
池田さんからはその後、「日本人妻を返して」の本を送っていただきました。本は日本人妻の手記や手紙、写真でしめられ、日本からの贈り物に感激した思いや、北朝鮮での物心両面での苦しい生活、地上の楽園は真っ赤な嘘だったとわかった無念さと騙されて渡航した恨み、望郷の念などが赤裸々に綴られています。
池田さんも本の冒頭で、この本の発行や日本人妻の帰還運動を訴える映画の製作、国会への請願、運動の盛り上げをアピールしています。
私が子供のころ見た映画で印象的な作品がありました。吉永小百合さんの代表作となった「キューポラのある街」です。
吉永さん演じる中学生と朝鮮人の友達の交流が描かれています。「日本で貧乏だから、これ以上貧乏になるわけがない」といって、北朝鮮に渡った友達や帰還を躊躇する日本人妻の葛藤もありました。鋳物工場が多い、キューポラのある街、埼玉県川口市に住む、日本人と朝鮮人熱い友情や交流が印象的なだけに、この映画を背景に+日本人妻自由往来実現運動の先頭に立っている池田文子さんに応援したくなるのは自然の道理だったのですが、

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