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親切なもてなしと正直を考える

70歳を過ぎても人の一生は短いと実感します。それは私自身の時間の使いかたが下手なのも影響しているかもしれません。吉田松陰は30歳たらずで素晴らしい業績を上げています。その間、牢獄に入っている期間があるのも驚きです。松下村塾の一年余りのわずかな間に幾多の逸材を世に送りこんでします。だれもが知っている名前だけでも高杉晋作,久坂玄瑞、伊藤博文、山縣有朋とあがってきます。その他、日本の発展に尽くした偉人は数えきれないくらいです。まさにスーパーマンの働きです。しっかりと吉田松陰の業績を研究するだけでも何年の月日が必要で、今からの私では不可能です。
いろんなことに興味を持っている私には時間がどれだけあっても足りません。

あとに役に立つだろうと思って、私は新聞の切り抜きをしており、そのスクラップノートも30冊近くあります。「岸田ノート」と同じくらいですかね。それはともかくとして、先日パラパラとスクラップノートを見ていましたら、忘れていることも多く、再発見もいくつかありました。

2015年に社会学者の山田昌弘中央大学教授が新聞に寄稿した記事「親切さが足りない日本人」もその一つです。コンビニやファーストフードなどの店員はとても親切で丁寧な対応だが、電車で高齢者に席を譲ったり、ベビーカーを押す若い母親を手伝ったりする行為は日本人はあまりせず、外国人のほうが親切だと実例をあげて説明していました。女性が小銭を落としたので、拾ってあげようとしたら、「何をするんですか」と怒られた話も披露し、関係のない知らない他人に不親切であり、もう少し親切にしたらと提言していました。

同じころ、小説家の石田衣良さんがお店の接客態度のすばらしさを。日経新聞系列のフリーペーパーに「世界一のおもてなしを受ける客」を書いています。日本の接客は世界一だが、それを受ける側の客が理不尽なクレームをつける風潮が増しており、もっと控えめにすべきだと警鐘を鳴らしています。

今年6月の読売新聞の夕刊にはミュージシャンの財津和夫さんが「疲れても笑顔 接客最高」を書いています。駅のスタンドコーヒー店で長蛇の列が並ぶ中、注文をさばいている女性店員を見ると、明らかに疲労が顔色に表れていたが、コーヒーが熱かったので、紙コップにつける腹巻のような余計なお願いをしたら、嫌な顔もせず、もう一つ紙コップをくれたので、感動したそうです。そのため、調子に乗り、「ありがとうございます、私、面の皮が厚いんです」といったら、満面の笑顔でうけ止めてくれた。そのやさしさがうれしくなり、元気をもらった」と書いていました。

こういった職種の店員さんの給料やバイト料は決して高くはありませんが、それ以上の笑顔や親切な対応を見せられると、申しわけない気持ちになると同時に大変うれしく、いい気持になります。

2016年に芥川賞を受賞した、村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を読んだとき、様々な工夫を凝らしながら、真摯に仕事に取り組んでいるコンビニで働く人たちの様子が描かれているのが印象に残りました。コンビニやスーパーで時々、「店員の対応が悪い」といって大声で怒鳴っている年配の男性がいます。歳をとるにつれて横暴で横柄になっていくのを見るとなぜだか哀しくなります。余命の方が生きてきた時間より短くなっても、いかに生きるべきか考えます。
2014年3月16日の読売新聞の本の質問欄に「人の話を信じ込むので、店員の対応が悪いといってだまされないための本を教えてください」と質問が載っていました。

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