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大切なものは目に見えない

後から考えると、不思議だと思う体験をすることがあります。

2022年のある日、バスターミナルから帰路の市バスの乗ったときの出来事です。

盲人の男性とバスで会話

バスの座席に座ると、目の前に盲人の男性が白い杖を持ち、立っていました。私が「座ったらどうですか?」と呼びかけました。「いえ、いいですよ」私が立ち上がって席を代わると思ったらしいので、一声加えました。「隣の席が空いていますよ」「あっ、そうですか」といって盲人の男性は隣の席に腰を下ろしました後、話しかけてみました。

「僕らから見ると、一人でバスに乗るのは大変だと思うんですけど」「いいえ、大変じゃないですよ。いつもしていますから。それより、今のご時世、大変ですね。暗い話ばっかりで」

不思議な話

その後、不思議な話が始まりました。

「あなたは木曜日の声ですね。それも午後1時ごろの少し眠気を誘うような時間ですね」

まともに考えると意味不明ですが、不思議と説得されているような気がしました。

安倍元首相は何曜日の声?


続けて「撃たれた安倍さんは月曜日に役所の職員が門前払いしているような声ですね。菅さんは木曜日、維新の松井さんは火曜日、今度代表になった馬場さんは金曜日かな、と立て続けに声の曜日をいっていきます。

なんだか楽しくなる。不思議な感覚でした。「こういったバカ話をしているのが一番楽しいですね」「ありがとうございます。私も楽しかったです」「また、お会いすることもあるかもしれませんね。その時は声をかけてください、私は見ることはできませんから」私が降りる一つ手前の停留所で降りていきました。

10分ほどの出来事でしたが、初対面でバスの中で話がはずみ、珠玉の瞬間を味わった気がしました。

盲人の方と付きあいのない私にとって、想像もしていなかった世界を知った感じです。

私たち健常者は目が見えなくなると思うと、視界も未来も真っ暗になるのではと恐くなるのですが、盲人の方にとっては目が見えないのが日常です。外出するのが大変だと思うのがおかしいのです。

つい、私たちは自分の考えで障害のある人たちを見ると、大変だとか、可哀そうだとか思ってしまいます。余計なお節介かもしれません。

声を曜日であらわすなど、70年以上生きてきて、1度も考えたことがありません。

なぜ、盲人の男性との話は心地よかったのでしょうか。

見えていないものが見える

以前、全盲の人が美術館で美術作品の鑑賞を楽しんでいる話を聞ききました。晴眼者(視覚障害者の対義語)の説明を聞きながら鑑賞するが、説明する人もその作品に対して新たな見方をおぼえるらしいです。
見えていなかったものが見えるようになるのだそうです。
人は情報の90%前後を視覚情報から得ているといわれてますが、見えていないものも意外と多い。
その見えていないものを視覚障害のある盲人がしっかりと見ている気がすます。
私たちが網膜でとらえていても、実際には見ていないものに大切なものがあるのかも知れません。

星の王子さまにも

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