小説「光の物語」第109話 〜手紙 7 〜
マティアスは年明けから流行り始めた風邪の対応に当たっていた。
シエーヌ領内の街や村はもちろん、最近は城内にもぽつぽつと患者が出始めている。
体力のない子供や老人には助からない者もあった。
「病院には患者が溢れております」
街の病院の医師が状況を報告する。
「一人の患者からまわりにどんどん広がりますゆえ・・・」
居並ぶ家臣たちも不安そうな顔をしている。彼らの友人知人にも患者はいたからだ。
「病院の近くの会堂を臨時の診療所にしよう。症状の軽い者はそこで手当てを。病院から交代で医