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光の物語

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中近世ヨーロッパの架空の国が舞台。隣国リーヴェニアから嫁いできた王女・アルメリーアと、王子ディアルの物語。政略結婚の相手として出会った二人は、互いの立場を自覚しつつも芽生えた恋を…
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2022年2月の記事一覧

小説「光の物語」第14話 〜春 6〜

旅の終わりを明日に控えた夕暮れ、二人は湖のほとりを歩きながら数日間の思い出にひたる。 同…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第15話 〜王城 1〜

「エルガへの出動、大義であった」 ディアルの父である国王、グスタフが息子をねぎらう。 ディ…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第16話 〜王城 2〜

「姫様、殿下が城にお戻りになりましたよ」 その知らせにアルメリーアは思わず椅子から立ち上…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第17話 〜王城 3〜

軍務こそ一段落したものの、謁見をしたり進講を受けたりと公務は日々絶え間がなかった。 他国…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第18話 〜王城 4〜

謁見に来た夫人たちはみな、なんらかの便宜を望んでいるか、なにかに腹を立てているかだった。…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第19話 〜王城 5〜

アルメリーアはひとりバルコニーに出て、午後の最後の日差しを浴びる。 外の空気を吸うと、謁…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第20話 〜見習 1〜

暖炉に火を入れる季節になった。 厳しい冬の始まりだが、王城のなかは明るく華やいでいた。 その中心にいるのは若く美しい王子夫妻と、その宮廷に新しく加わった見習いの子女たちだった。 ミルツ侯爵家の娘、クリスティーネは14になったばかりだが、少しでも良い嫁ぎ先をという両親の強い願いを背負っていた。 本人もそう願っていたが、少女らしい恋への憧れも持っているらしい。 「殿下と妃殿下が私の理想ですわ。私のお相手も殿下のような方だったらどんなにいいでしょう・・・」 夢見るように語る様

小説「光の物語」第21話 〜見習 2〜

雪の降り積もる頃になった。 しかし、王城に集う少女たちには寒さも関係ないようだ。 相変わら…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第22話 〜見習 3〜

「まあ、パトリック?驚いたわ。そんなところでどうしたの?」 サロンのすみに隠れているパト…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第23話 〜見習 4〜

「この間からちょっと元気がなかったんだよ」 夜、寝室でディアルにサロンでの出来事を話すと…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第24話 〜降誕祭 1〜

降誕祭の季節になった。 社交のために王城を訪れる諸侯も増え、城は日に日に賑々しく華やかに…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第25話 〜降誕祭 2〜

「やはり新しい道にはこの経路がもっともふさわしいかと」 地図を前にしてマティアスが各地の…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第26話 〜降誕祭 3〜

「真冬までの調査、ご苦労だったな」 肩をたたいてねぎらうディアルにマティアスは苦笑いした…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第27話 〜降誕祭 4〜

貴婦人たちが笑いさざめくサロンに戻る。 アルメリーアは奥のソファにかけており、その横には見習いのパトリック少年がちんまり座り、何かを書いていた。 ディアルとマティアスの姿を認めたアルメリーアは微笑み、パトリックは立ち上がって主人を迎える。 「私のいぬ間に妃殿下に接近か?」 ディアルが笑ってからかった。 「パトリックはお母様にお手紙を書いていますの。すこし字を教えていましたのよ」 パトリックは読むのはできるが、書く方はまだおぼつかないところがあった。 「それはいいね。パトリ