おやすみ怪獣

エッセイや自分の体験とフィクションを交えた文章などを綴ります

おやすみ怪獣

エッセイや自分の体験とフィクションを交えた文章などを綴ります

最近の記事

[やさしい庭] ー Summer Note ー

その洋館の前を通るたび、裏庭が少しだけ見えた 庭になんか興味を持つタイプじゃなかったのに この庭だけはもっと見てみたいという衝動に駆られる そう思いながら、いつもその洋館の前を通り過ぎていた ある日、いつものようにその洋館の前を通り過ぎようとしていた その日はとても暑く、空はどこまでも澄み渡る天色をしていた 今日は何かいつもと違う 暑さでぼんやりしながら 洋館を見ていた ーあぁ、これかー 門扉が開いている 入りたい・・・庭を見たい・・・ 頭がぼんやりし

    • [秘密にしたい香り]ショートストーリー

      『洗濯物しまうよ』 『えっ、こんなに天気がいいのに?』 『雨の降る匂いがするから』 彼女は雨の匂いに敏感だ 雨の匂いだけじゃない いつも使っている柔軟剤が廃盤になると 柔軟剤の旅に出る 強く香らず、自分と相性の良い香りの柔軟剤じゃないと 頭が痛くなるらしい 『柔軟剤の香りが嫌いなわけじゃないの』 『微香で良い香りのする柔軟剤は好き』 『天然の香りでも苦手な香りがあるように』 『作られた香りにも、苦手なものと好きなものがあるんだよ』 『私ね、好きな香り

    [やさしい庭] ー Summer Note ー