さなぎ

見たもの聴いたもの感じたものの感想など。誰かに宛てて書く覚書。 地方在住で映画・本・音…

さなぎ

見たもの聴いたもの感じたものの感想など。誰かに宛てて書く覚書。 地方在住で映画・本・音楽・漫画を好むものです。同じものに触れた人、これから触れる人に一つの感じ方として何か伝わるものがあればしあわせです。インプットの都度記録に残せるといいな。

最近の記事

創作は 命をかけて殺す そういう作業『ルックバック』

『チェンソーマン』でも話題の漫画家・藤本タツキさんの読み切り漫画『ルックバック』が劇場アニメ化したので観てきた。原作漫画も発表当時から大変な話題になっていて気になっていたので、原作も読了の上でさっそく劇場へ。 あらすじ 小学4年生の藤野は、学年新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメイトたちからその画力や才能を絶賛されていた。ある日、彼女は教師から、学年新聞に不登校の生徒・京本の漫画も載せたいと告げられる。二人の少女は、漫画を通して出会い共に成長していくが、いつしか二人の道は別

    • なんで眩しい時間は終わるのか。『ちょっと思い出しただけ』を鑑賞

      公開当時から気になっていた映画『ちょっと思い出しただけ』を、数年越しにPrime Videoで観た。 あらすじ 2021年7月26日に34回目の誕生日を迎えた照生。ステージの照明の仕事をしている彼は、いつものように仕事に向かう。一方、元恋人の葉はタクシー運転手をしており、客を降ろした先に照生の姿を見つける。2人は、出会ってからの7月26日を遡りながら、共に過ごした6年間を思い出していく。 感想 まず、照生と葉の付き合ってるときのきらきら感、別れてからの雰囲気、自然過ぎ

      • 絵本の中に迷い込んだような映画『友だちのうちはどこ?』

        子どもの頃読んだ絵本、『はじめてのおつかい』のような身近な冒険を思い出させる映画。アッバス・キアロスタミ監督の『友だちのうちはどこ?』をPrime Videoで観た。 あらすじ・概要物語は8歳の少年アハマッドが同級生ネマツァデの宿題ノートを間違えて持ち帰ってしまうところから始まる。ネマツァデが「次にノートを忘れたら退学」と先生に叱られていたことを思い出し、アハマッドはノートを返すために必死に友だちの家を探しに行く。 感想アハマッドの健気さに、可愛さと哀れさが入り混じり、終

        • NHKドラマ 恋せぬふたりを今さら観て

          今期の朝ドラ『虎に翼』を毎日楽しみに観ている私です。私自身が凡庸な人間だからかもしれないけれど、「普通」を押し付けられることにちゃんと抗える女の子の話が好きだ。そんな私は『虎に翼』の脚本を書かれている吉田恵里香さんの『恋せぬふたり』は未履修でした。数年前にNHKで放送していたこともリアルタイムで認知はしていて、タイトルや設定から興味がありつつも見逃してしまっていた。それで、このたび『虎に翼』と同じ脚本家さんの作品と認識して、もう絶対に観るための条件揃ったな……と思ったので、い

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          映画『違国日記』のものたりなさ

          ヤマシタトモコ氏の作品『違国日記』が好きだ。特にヤマシタトモコ氏のファンというわけではないが、『違国日記』だけはとにかく刺さりまくって、これまでに何度も読み返している。 映画を観ているような、ある人の生活を俯瞰で見ているような感覚になる作品だ。実生活がそうであるように、登場人物一人一人が何かしらの痛みや孤独や苦しさ、そしてそれぞれの形のしあわせを持っている。たとえ架空の人のものであっても、その生々しさを知ると私の心は満たされる。 さて、原作漫画への愛はこれくらいにして本題

          映画『違国日記』のものたりなさ