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我が運命



“Fortune” 「フォーチュン」


”Fortune” このタイトルにはどんなイメージがわきますか?私は良い意味でとらえて「幸運」と勝手に解釈していました。ギターの学校在学中の話です。あるコンサートにて

「皆様に幸運が舞い込みますように、願い込めて演奏します。ダウランドのフォーチュン、お聴きください。」

ギターの曲集のタイトルは”Fortune” でしたがこれには続きがありました。”Fortune my foe" 「運命、我が敵」。元々は恋人を失った男が運命の気まぐれを嘆く歌でした。「幸運」ではなく、「嘆きの歌」でした。


歌ってみよう

歌の曲であれば、元の歌の歌詞を探してみることが大切です。曲のイメージがわいてきます。横文字で “ググり” ましょう。色々と出てくるはずです。便利な時代になりましたね。外国語が堪能であれば、原語でも歌ってみるのも良いでしょう。


「話声も良く響いています。いい声ですね。試しにリュート伴奏で歌ってみませんか?」

「実はリュート伴奏で歌ってみたいと思っていたのです。声楽とかは習ったことないですけど。大丈夫ですかね」

「昔のFork Song(民謡)だから、ちょっと英語できれば、歌えますよ。(たぶん)」

あるリュート愛好家は晴れてリュート合宿にて歌手デビューました。レッスンでは苦戦していましたが、コンサートでは皆さんに拍手喝采を浴びていました。気分は最高!


声に出して読んでみよう

古い時代の歌や民謡は有名な曲は日本語訳も出ています。声に出して読んでみるのもおすすめです。リュートに合わせて詩を朗読するのも、気持ちが良いものです。リュートセミナー等で練習を見学している人(主に参加者、メンバーのご主人が多い)に時々声をかけたりします。ステージに引っ張り出してしまうのです。


「この詩をリュートに合わせて読んでみませんか。日本語での朗読ですから。」

初めは、恥ずかしいと遠慮していますが、始まると案外、皆さん上手に詩を朗読してくださいます。リュートの音は声を邪魔にならずに包み込んでくれます。気持ちが良くなるのです。

あるリュートセミナーに宮沢賢治の朗読をするのをライフワークとしているリュート愛好家が参加されていました。私はその方に朗読をお願いしてみました。

「地元の言葉、方言で『運命』をリュートに合わせて朗読したらどんな感じかなあ。」

うまい!すごく楽しい。大いに盛り上がりました。岩手方言でのシェイクスピアの朗読は味わいが増しました。

私は調子にのって、セミナー会場の喫茶店のマスターも続いて誘ってみました。九州男児のマスターのお国言葉での朗読というより、感情豊かな演技に大爆笑となりました。

それでは、皆さまも音源に合わせてお試しあれ!

歌詞はエリザベス朝の古い英語です。シェイクスピアの舞台俳優になったつもりで!日本語でも良いですよ。

Fortune my foe, why dost thou frown on me?
And will thy favour never better be?
Wilt thou, I say, for ever breed my pain.
And wilt thou not restore my joys again?

運命、我が敵よ、なぜ、そんな嫌な顔を 俺に向けるのか?
さあ、運命よ、俺に好意を見せて・・ そんな良いことはあり得ないだと?
ならば、言おう。この永遠に産み続けられる我が苦悩の痛みを!
それでも返さぬというのか?我が至福の喜びを。あの喜びは二度とないのだな!


リュートマニア ★☆☆

リュートで弾いてみよう

ダウランドの “Fortune” をリュートやギターで音符通りにある程度弾けるようになったとしましょう。さらに深めていくことが音楽をする喜びであり醍醐味ですね。

まずは音楽の様式、スタイルなどの理解も必要です。最初の音源と最後のダウランドを弾いているビデオを聴き比べてみてください。ダウランドの曲の方が細かい音が付け加えられていることに気づきましたか。音楽用語では「ディミニューション」という、装飾一つになります。ダウランドのリュートソロの曲はこの装飾が見事なものが多いのが特徴です。

「この速いところ(装飾)がうまく弾けないです。」

装飾は各、作曲家の腕の見せどころでもあります。ロックギタリストの曲間のアドリブにも各々個性がありますね。細かい音符をあまり向きなって力んで弾かないことです。あくまでも装飾とは遊びです。何気なくさらっと弾くのがコツです。左手がバタバタしないことが大事です。リュートはギターと比べると力のいらない楽器なので左手は実は楽です。また、右手には親指と人差し指をピックのように交互に弾く奏法「フィゲタ奏法」があります。これを力まずにさらっとできるとリュートらしい表現になります。

「フィゲタ奏法」についてはまた、後日。★いくつになるでしょうか?

櫻田亨公式HP


櫻田亨のCD|おやすみリュート|

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リュートに興味を持ってくれる方が増えると嬉しいですね。