子どもを亡くすことは、悲しいことだけど不幸じゃない


私が「親の時間」を始めたのは、
娘が白血病で亡くなって5年目でした。

それまでは、悲しい気持ちを振り切るように
明るく振る舞ってみせたり、
泣いているところを家族に知られまいと
布団にもぐって泣いたり・・・
本当に苦しい毎日でした。

「親の時間」では、娘を突然奪われた悲しみ、
怒り、寂しさを聞いてもらいました。
泣いている私の傍に仲間の温かいまなざし。
たぶん、生れて初めての経験だと思います。
自分の心に正直にいる事を許された私は、
娘を助けられなかった罪悪感や後悔が
少しずつ小さくなっていくのを感じました。

そして、私がどれほど娘を愛していたか、
一生懸命病気と前向きに闘ってきたか、
娘と幸せな時間を過ごしてきたかを
想い出せるようになりました。

子どもを亡くした悲しみは、
地球上の悲しみの中で一番大きなものではないかと
私は思っています。
でも、悲しい経験ではあるけれど、
不幸じゃないとも思っています。
病院の限られた環境の中であっても、
いきいきと自分らしく生き抜いた姿に、
私がどれほど勇気づけられているか、
娘に感謝の気持ちでいっぱいです。

今、私はかつて娘と過ごした病院で
ボランティアをしています。
小児がんの子どもとお母さんと一緒に、
ゆったりとした時間を過ごしています。
私はこの時間が大好きです。
目を閉じると、いつでも娘が傍にいます。
娘の声が聞こえます。
「ママが大好きだよ、いつも一緒だよ」って・・・。
あらためて、娘が亡くなってからの10年間
よく頑張って生きてきたな~って思います。

最後に、「親の時間」の仲間達に感謝したいと思います。
親として生きることの素晴らしさ、
私という存在の大切さを気付かせてくれて本当にありがとう。

としみ
この文章は、2013年3月に書いたものです。

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