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日銀マイナス金利解除の影響

日本銀行の高田創(はじめ)審議委員は29日、大津市で講演し、物価上昇率2%の目標実現が見通せる状況になってきたとした上で、「極めて強い金融緩和からのギアシフト(速度の切り替え)に向けた検討が必要」と述べた。マイナス金利政策を柱とする金融緩和策からの早期の転換に、前向きな姿勢を示した。
◆マイナス金利解除後の相場への影響
①   マイナス金利政策の導入
・2016年1月に日本銀行(日銀)が導入した「マイナス金利政策」は、大規模金融緩和の柱の一つ
・この政策により、民間銀行が日銀に預けている一部の当座預金にマイナス金利が適用された。
・銀行株はこの政策による影響を受け、YCC修正があった22年末まで日経平均・TOPIX比で低迷した。
②   マイナス金利解除の影響:
【為替】円高の進行: 日銀の政策転換により、日米金利差縮小などにより円高が進む可能性
【株式】過去のゼロ金利解除時には、株式相場が一時的に下落したことがある
【債券】長期金利の上昇: 10年物国債利回りの急騰が起こることもあります
 
③   銀行株の展望
金利上昇観測により、銀行株に注目が集まっている。
銀行はゼロ金利政策下で利ざや収入が低迷したが、金利の正常化に伴い、融資で稼ぐ局面が復活することが期待されている。その期待から東証銀行業株価指数は、日銀の政策修正を受けて急上昇している。しかし、過去のゼロ金利解除後は継続利上げへの期待後退から軟調な動きに・・・。

◆世界的な中央銀行のバランス・シート縮小に注意
 中央銀行(以下、中銀)のバランスシートとは、中銀が持つ総資産を示し、市場に供給するお金を増やすために拡大した。2008年リーマン・ショックから20年コロナ禍の世界経済を支えるため各国中銀は、大規模な金融緩和を実施し、この量的緩和に伴う『バランスシート拡大』が株式市場の大きな支えになったとみられ、世界株式(オルカン)は上昇を続けた。
 反対に、22年以降インフレ高進に対して欧米の中央銀行は『バランシート縮小』に動いたことで世界株式は下落した。
 米FRBの利下げ期待や生成AIへの期待から世界株式は上昇しているが、日銀のマイナス金利解除後(金融政策の正常化)の動きに注目があつまる。


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