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超要約『リテール4.0』~コトラーの小売業への10のアドバイス~

マーケティングの神様・フィリップ・コトラーが、せっかく『コトラーのリテール4.0』という本で、小売業への10のアドバイスをしているというのに、この本、あまり読まれていない気がする。というわけで、超要約してみました。

小売業は終わったとまで囁かれているが、ではアマゾン、アリババ、グーグルといった純粋なデジタル企業がなぜリアル店舗を持とうとするのか。小売市場におけるデジタル取引はまだ全体の20%だ。デジタル時代の取引は中抜きなどにより人間対人間(H2H)という包括的な概念となる。ビッグデータは石油。発見・抽出・加工・提供を効果的に行い、マネタイズすることが必要だ。

デジタル時代の10のルールを示す
ルール1 不可視であれ
技術は目的ではなく顧客のフリクション(購買における葛藤)、認知的・物理的努力を最小化するための手段である。目に見える必要はなく、スマホ決済など顧客が慣れ親しんだ技術が好ましい。

ルール2 シームレスであれ
スマートフォンによってデジタルとフィジカルが融合し、ショールーミングとウェブルーミングを組み合わせた「フィジタル・マーケティング」を実践せよ。すべてのチャネルを集合して、一つのサービスを顧客に提示せよ。

ルール3 目的地であれ
店舗の目的は売買ではなく、経験拠点である。ブランドを神格化した空間というトレンドもある。小規模店舗もショールーム化により顧客にブランド体験をさせる場となりうる。顧客に主体的に体験させ、ブランドストーリーを語らせよう。

ルール4 誠実であれ
ステークホルダー全体に誠実であれ。ブランドへの忠誠心ではなく、多様なタッチポイントを通じて、顧客に体験させることでロイヤリティは生まれる。

ルール5 パーソナルであれ
ワン・トゥ・ワンマーケティングへ変更せよ。パーソナライズでプロアクティブ(先取行動的に)に行動せよ。

ルール6 キュレーターであれ
単なる販売者ではなく、キュレーター(提案を管理し、解釈し、伝える)になることで、物理的スペースの縮小、効率の悪さ、競合との差別化という課題を一掃できる。

ルール7 人間的であれ
人間中心デザインにしたがった「サービス」、人々が集まる「社会性」、環境・社会・経済に配慮した「持続可能性」により、「人間らしくあれ」。

ルール8 バウンドレスであれ(境界線を打破せよ)
クリック一つで、定期的な自動調達(クリック・アンド・サブスクライブ)、リアル店舗で受け取り(クリック・アンド・コレクト)、駅や高速道路のサービスエリアなど通り道での受け取り(クリック・アンド・コミュート)、試用(クリック・アンド・トライ)、オンライン予約(クリック・アンド・リザーブ)など小売業の境界線を打破せよ。

ルール9 エクスポネンシャルであれ(サードパーティとの協力により自社の提案の限界を超えよ)
提案を①新しいチャネルを使うことで増殖する(外注)②補完的な経験によって豊かにする(パートナーシップ)ーー2つの方法がある。

ルール10 勇敢であれ
価値提案の根拠を改めて取り上げ、現状に向き合え。リーンスタートアッププロセスを考慮に入れよ。


ーーおすすめした自分が言うのもなんですが、難しいですねえ。エクスポネンシャルであれとかバウンドレスであれ、とか言われても。というわけで、超要約をさらに要約します。

「デジタル時代だからこそ、小売業の生きる道は、①デジタルのチャネルとの融合であり、②H2H(人間対人間)が重要である。そのためには販売者は(美術館員のように)キュレーターになり、顧客に(売買ではなく)ブランド体験をさせることである。デジタル技術はそのための手段である」。

ーーという感じでしょうか。例え技術の粋を集めた「アマゾンゴー」だって、購買者の手間をなくすという人間的意義がなければ、ただの実験室ですものね。

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