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にわかの私が解説する「筑後地方」について

雨の日は「しるしかろう」

私は生まれは福岡県糸島市ですが、中学・高校の5年間を除いては東京、札幌、高松、京都と点々としておりました。1年前、40代の半ばになってようやく家業を継ぐべく福岡市に帰ってきたので、福岡県民としては新米になります。

父母の住む実家は一駅隣になるので、時々晩ごはんを食べに行くのですが、帰る時に雨が降っていたりすると「しるしかろう」と言われます。なんのことかなと調べてみると「めんどくさいだろう」という筑後弁なのですね。その他、「ぐらりきた」(がっかりした)、「くらす」(なぐる)、「はらかく」(腹を立てる)などごく稀ですが、筑後弁と思われる言葉が出てきます。

ところがですね。福岡市は筑前の国です。なんで筑後の方言が出てくるのかなあと思ったのですが、すぐにわかりました。私の祖父母が筑後の久留米市の出身で、戦後まもなく福岡市にのぼってきたため、その名残が父にもあったのですね。ちなみに私は久留米には3,4回しか行ったことがありませんが、先祖を敬する意味を込めて本籍地は久留米にしています(させられています)。また筑後から福岡に来た方も多いのでしょう。福岡でも普通に「けそけそする」(落ち着かない)とか言ったりします。

というわけで、今回は、「筑後地方」をフィーチャーしたいと思います。さっきも言いましたが、私は筑後地方には3,4回しかいったことがありません。地元の人が不快に思われたらすみません。これを機に勉強して、もっと筑後地方に詳しくなりたいと思います。

大牟田線を南下してみよう

さっきから筑前、筑後とか、何言ってるの?福岡の人しかわからない、という声も聞こえてきそうですが、九州は文字通り、筑前・筑後・肥前・肥後・豊前・豊後・日向・大隅・薩摩の9つの国があります。福岡県って面積的には全国29位なんですが、筑前・筑後・豊前(の一部)、3国をまたがる県なんですね。ということで結構多様性があります。

というわけで筑後の国ってどのあたり?と思う方は西日本鉄道の主要線である「天神大牟田線」を乗れば分かります(乗れないか)。福岡市の中心街・天神を南下すること30分で、筑後川を渡り、筑後地方北部の中心・久留米に着きます。さらに南下すること15分で筑後地方南部の中心地・柳川に、さらに15分で筑後地方最南端の大牟田に着きます。
今回は久留米と柳川について紹介します。

有馬氏とブリヂストンの城下町・久留米

久留米というと、豚骨ラーメンの元祖・久留米ラーメン?ホリエモンや孫正義が通った久留米附設高校?私はやっぱり、有馬氏の城下町、そしてブリヂストンの城下町というイメージですね。

久留米城はもともと毛利元就の息子・小早川秀包氏の居城だったのですが、西軍についた秀包に代わって、東軍について石田三成を捕縛した功をなした田中吉政が入ります。しかし息子・忠政に嗣子がなく改易となったあとは北筑後の久留米に有馬氏が転封、南筑後の柳川には立花氏が復帰します。これが明治の廃藩置県まで続きます。

というわけで地元・久留米の人には愛着のある有馬氏。競馬の有馬記念を創設したのも15代当主の有馬頼寧氏です。
ブリヂストンは筑後川沿いに馬鹿でかい工場があります。ブリッジ・ストンでということで創業者は石橋氏というのは有名ですよね。地下足袋メーカーからタイヤメーカーに発展しました。知人が「ああ、タイヤも履くっていいますもんね」と言っていましたが、「うまいこと言うな」と返しましたが、ゴムで足元を覆うという原理から来たわけですから、いい線いってるかも。あとは江戸にもある水天宮様も久留米が由来。JR久留米駅の「水天宮口」に水天宮があります。幕末の蛤御門の変の大将・真木和泉はここの祀官でした。
電車で30分というわけで、福岡市のベッドタウンとしても発展しています。福岡市、北九州市についで、人口3位の都市です。

水の都・柳川

さて、柳川といえば、掘割(お堀)が張り巡らされ、舟で柳川めぐりをする水の都として有名ですが(あと鰻かな)、掘割など柳川を整備した大名は前述の田中吉政です。久留米も含めた筑後の国の「国主」なんですね。知ってました?
ところが嗣子断絶で改易になったあと、関ヶ原で西軍に着いた名将・立花宗茂がなんと柳川にカムバックします。立花宗茂は福岡市東区にある立花山を根城とした大友氏傘下の武将でしたが、島津氏との戦いで健闘して九州征伐を行った秀吉に評価され、柳川の所領としていました。西軍についたのに所領にカムバックしたのは立花氏だけといわれています。というわけで柳川といえば立花氏ですね。あと詩人の北原白秋も有名です。

大牟田線沿線の人も久留米といえばラーメン、柳川と言えば舟下りくらいのイメージしかないかもしれませんが、結構歴史的にゆかりの人も多く。なかなか楽しいところです。今回は疲れちゃったのでここまでにしますが、筑後の魅力を掘り下げていきたいと思います。

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