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発達障害の私が逮捕された話⑤

前回の記事では、留置所での二日目の様子をお伝えしました。今回は、裁判所での体験についてお話しします。

おはようございます。

7時起床のベルが鳴り響く。


本日は裁判所に向かう日。ここで一旦釈放されるか、このまま勾留されるか決まる。釈放という淡い期待を抱きながら朝食のパン二個を詰め込む。


その後、すぐさま別室に連れていかれる。まず手錠と護送用のベストがつけられ、他の留置所にいる人たちと腰縄で繋がれる。


そのまま何人か腰縄で繋がったまま留置所の外へ。護送車に乗ると、隣に体格のいい男性が座った。久しぶりに人の体温を感じ、外の景色を眺めながら現実感が増してくるのを感じた。


護送車はそれぞれの警察署を周り、管轄している裁判所に到着する。裁判所の隣の小さな建物に入り、古い牢屋とバス停のような椅子が並ぶ部屋に通される。トイレも仕切られた一角にあった。


その中に私を含めて四人が入った。特に決まりはないが、それぞれ四方の隅に座った。


「すごく若いですね、あなた」
前に座ったか細い男性がそう私に言う。
ここで喋っていいのかわからず戸惑っていると、体格のいい男性が話しかけてきた。
「なかなかこういう所で見るような雰囲気の人じゃないけど、なにしたの?」。


私は少しだけあった出来事を話すと、体格のいい男性は
「そんなことがあったんだ、気持ちすごいわかる」と言った。

ここから各々がどんなことをしたか話し始めた。警官も留置所の担当より厳しくなく、張りつめていた緊張が少し緩んだ気がした。みんなこの状況を乗り越えるために頑張ろうという連帯感がありました。


しばらくすると、検事に呼び出される人が出てきた。そして私も検事に呼ばれる。腰縄に繋がれたまま警官に連れられる。


検事がいる扉の前に立つ。ドアが開くと大きな木の机が三台、三脚とカメラがこちらに向けられていた。パイプ椅子に座ると、重い雰囲気がまるでここだけ重力が違うかのように感じられた。検事は厳格な表情でこちらを見ていた。


「副検事の○○です」と言葉を発した。副検事はここが録音録画されていることを伝え、警官の取り調べとほぼ同じような質問を始めた。ただ、質問とずれた答えを言うとさらに深掘りしてきた。まるで就活の役員面接のようだった。副検事との取り調べで、言語能力がないということを痛感し、その言語能力がない私に生きる価値はあるのかという思いがよぎった。


一通り取り調べが終わり、また待合の牢屋に戻る。他の三人も取り調べが終了し、中年の男性はげっそりとしていた。取り調べが非常に厳しかったようだ。


再び私が呼ばれ、今度は裁判所の建物に入った。中に入り地下に降りていく。閉鎖された空間で、何かの研究施設のようだった。


警官に連れられ、大きな部屋に入る。年配の男性が一人いた。この方が裁判官なのかは覚えていないが、罪状などが読み上げられた。非常にあっさりとしたものでした。


再び待合の牢屋に戻るが、他の三人は検事と何度目かの取り調べだったようで、先に警察署に戻った。彼らとフィストバンプを交わしたときの記憶は鮮明に覚えている。

しばらく一人取り残された牢屋の中で、釈放されるのだろうかと心臓の音しか聞こえない静かな空間で待った。


やがて警官から一枚の紙を見せられる。


勾留
理由は証拠の隠蔽、逃亡のおそれ


目の前が一瞬暗くなった。

もういつ帰れるかわからない。

護送車に乗り警察署に戻る。

豪雨が降り始め、

これは私の代わりに泣いてくれたのか、

それとも怒りの雨なのか、

もういっそ全て流してくれないかなと思った。


警察署の留置所に戻り、部屋に入る。


初日の夜と違い思考がシャットダウンしていた。

このまま全てシャットダウンして止まらないかと願う。

気が抜けてもぬけの殻だった。


「126番、面会」


次回、弁護士との展開が進む様子を書きます。



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