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発達障害の私が逮捕された話➁

前回の記事では、私が逮捕されるまでの経緯についてお話しました。今回は、逮捕から留置所に入るまでの過程についてお伝えします。

手錠をかけられた手を見る私。

警官が「じゃあ手錠外すね」と言い、私の胴体をパイプ椅子にロープで括り付けました。

「形式上手錠はかけないといけないからね」

時間は夕刻。取り調べには時間が決められているため、ここでは簡易的な取り調べでした。

「早朝に家行ったんだけど、誰もいなくて、もう会社に行ってたの?」

私は夜勤明けであったことを伝えました。

「そう、電話に出なかったらもう一回夕方に行くとこだった」
「あと電話でなんかとぼけてなかった?」

寝起きでぼんやりしていたこと、また電話対応が苦手なことを伝えました。

「ふーん」
「あと今回の事件は俺が担当するから」

若めの警官(A警官)が言いました。貫禄のある警官はいつの間にかいなくなっていました。

「今回の事件、気持ちはわからなくもないけど、いやはっきり言ってわかるけどちょっと言いすぎ」

そう言われました。なにも言えませんでした。

その後、ふくよかな体の警官が入ってきました。その方からは選任の弁護士がいるかなど、これからの話をされました。

その中で、逮捕後72時間内に裁判所及び検察に向かうことを伝えられました。

それ以外は正直覚えていないことが多く、ただ心臓の音が大きく、自分が本当に現実にいるのかどうかわからない状態でした。

そしてA警官が入ってきて、時間が時間なので留置所に入る手続きを始めました。

「はっきり言うとここの留置所は厳しい、覚悟して」

何がどう厳しいのかその時はわからなかったが、後にすぐわかりました。
また、窓口に残した母は何度か来ては帰ってを繰り返していたようです。

そして再び手錠をかけられ、A警官と共に廊下に出ました。

「床にビニールテープあるだろ?そこに足揃えて壁に向かって立って」

そう言われ、ビニールテープにつま先を合わせ、壁に向かって立ちました。

「もういいぞ、じゃあエレベーター入って。エレベーターにもテープ貼ってるからそこに合わせて立って」

エレベーターに入り、一番奥の隅の床にあるテープに合わせて壁に向かって立ちました。

「ついたぞ、エレベーター出たらまたテープあるから」

また同様に壁に向かって立ちました。A警官と留置所内の警官がやり取りをしているようでした。

「それじゃここから留置所だから、あとはちゃんと留置所の担当の言うこときいて」

留置所内の警官を担当もしくは担当さんと言うようです。私は留置所の入り口と思われる扉の向こうに行きました。

「おら早くテープの前立て!!!」

耳鳴りがするくらいの怒号が耳元で発せられました。私はテープに合わせ壁に向かって立ち、A警官が「それじゃよろしくお願いします」と留置所を管理する警官(担当)に言い、立ち去りました。

「これから身体検査するから、言う通りにしろよ」
「おい!聞いてんのか!!!」

怒号が飛びました。返事はすぐしないといけないようです。
しかし、私にとって即答は難しく、その怒号は親からの虐待の記憶を鮮明に呼び覚ますものでした。

足をあげたり、手を横にあげたりして身体検査が終わりました。

「身体検査ヨシ!!」 「ヨシ!!!」

非常に大きい声で複数の担当が言いました。

「じゃあついてこい」

別室に連れて行かれ、財布など持っていた荷物の確認、そして書類の手続きが終わり、今度は身体検査。ビジネスホテルにあるルームウェアのようなものだけを着ろと言われました。

言われた通りそれ一枚を着用し、その状態で手を壁についたり後ろを向いたりして、金属探知機を全身に当てられました。


身体検査の後に当番弁護士の話があり、私は当番弁護士を希望しました。
後にこの事件を担当することになるその弁護士が、この先の展開で重要な役割を果たす存在になることは、この時点では全く予想していませんでした。


次回は、留置所の部屋で過ごした実際の体験についてお話しします。

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