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発達障害の私が逮捕された話➂

前回の記事では、逮捕から留置所に入るまでの過程についてお伝えしました。今回は、留置所の部屋で過ごした実際の体験について、さらに詳しくお話ししようと思います。どのような環境で、どんな心境で日々を過ごしていたのか、その詳細をお伝えします。

「ここではおまえを名前で呼ばずに番号で呼ぶ。おまえの番号は126番」

126番。
この番号は一生忘れないでしょう。

留置所の部屋に連れていかれます。

「テープの前立っとけ」

壁に向かって立ちます。担当が部屋の格子につけられている鍵を外します。

ガチャ ガコン

堅牢な音が響きました。

「入れ、スリッパは揃えろよ」

スリッパを揃えて入ります。

ガコン ガシャ

格子の扉を閉め、鍵をかける担当。

「時間が時間だからメシ持ってくる。その後すぐ点呼あって布団ひいて寝てもらうから」

返事をする私。

留置所の部屋は記事の画像そのままでした。手前は畳で、奥には洗面台とトイレがありました。天井には監視カメラがあり、人がいるはずなのに気持ち悪いくらい無音で、たまに時計の音が鳴るだけでした。

担当から仕出し弁当が格子の小窓から出されました。基本的にこの小窓でやり取りするようです。弁当とお茶が置かれたので取りました。


味がしない。


飲み物も味がなく、お茶かどうかわかりませんでした。弁当はほとんど手を付けず食べられませんでした。
残した弁当とコップを小窓の台に置き、その後回収されました。

「すぐ点呼あるから部屋の真ん中あたりにいてじっとしてて」

言われた通り部屋の真ん中に座っていると

「○○番!」 「ハイ!!」

「○○番!」 「ハイ!!!」

点呼が始まりました。

すぐに自分の番が来て

「126番!」 「ハイ!」

点呼の前か最中に警察署長も見回りに来ていました。

その後また身体検査のため一旦自分の部屋から出て壁に向かって立ちました。

「身体検査ヨシ!!!」 「ヨシ!!!」

頭痛がするほどの大きい声。

身体検査が終わり、布団のひき方や部屋の中の電灯は消えずに明るいままなので、布団を顔までかぶる人が多いようで、安否確認のため顔までかぶるなと言われました。

布団をひき、消灯の時間が来ました。


さて、ここから非常に長い夜が続きます。


横にならずに私は壁に寄りかかり座る。

なぜこうなったのか、母は私の逮捕を受けて倒れたりしていないか、自分は今後どうなるのか、そういった考えが頭の中で



ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる



涙は出てこなかった。そう、涙はとっくに枯れていた。昔、虐待やいじめで一人で泣いていることが多かった。泣きすぎて今はもう涙が流せない。そして、泣いても誰も助けてくれない現実を知っていた。


時計の音がガコン、私の心臓はドクドクなっている。
その二つの音しか聞こえない。


22時、23時、24時、1時・・・


時間は進んでいく。考えすぎても意味がないのはわかっているが、頭の中は錯綜している。


見かねた担当が話しかけてきた。


「まあ寝なくてもいいけど静かにな」


その言葉で現実に引き戻される。
それまで、どこか違う世界にいるような、自分の世界の中にいる感覚でした。


私は本を借りれないかと伝える。


「この時間は無理、読書できる時間は決まっている」


そうですかと返事をし、再び自分の世界に入る。


どれくらい考えただろうか、もはや何を考えたのかわからない。そもそも考えていたのかさえもわからない。


自分はなんなんだろう、問いかけるも返事はない。
頭を打ってみる、痛い、ここは現実だ。
夜がどれだけ長く感じたかわからない。
時計の針は進んでいるが、時間が止まったような感覚。


窓から明るい日差しが入ってきた。



おはようございます。


7時起床の時間です。



次回は留置所二日目の生活と取り調べ、弁護士の方との内容を書こうと思います。

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