見出し画像

[Excel]データ集計をどう行うか? 実際の自治体データをもとに考える⑦ 許可の種類別の件数を集計する(COUNTIFS関数)

実際の自治体データ(茨城県の旅館業の許可状況)を元に集計をしてみるこのシリーズの過去記事は、マガジン「実際の自治体データで集計をしてみる」でどうぞ。

過去記事「データ集計をどう行うか? 実際の自治体データをもとに考え⑥ 集計表の「枠」を作る」で、集計表の「枠」を作りました。
こちらがそのファイルです。

最初のゴールは、H列にある「営業の種類」別の数を出すことです。

上のデータ一覧から、下の表を出します。

前記事で、集計の「枠」ができました。
今回、ようやく、集計です。
まずは、「営業の種類」別の件数を出します。

COUNTIFS関数で件数を出す。COUNTIF関数は使わない。

件数を出すには、COUNTIFS関数を使います。
条件(IFS)に合ったものを数える(=COUNTする)関数です。
Microsoft サポートによると、
COUNTIFS (条件範囲 1, 検索条件 1, [条件範囲 2, 検索条件 2],…) と記述します。

「範囲」の中に「検索条件」と合致するデータがいくつあるか、を数えて表示する(返す)関数です。

IFSと複数になっているとおり、複数の条件を設定できます。
条件が2つの場合は、「1の範囲の中に検索対象があって、かつ、2の範囲の中に検索対象があるもの」の数を出します。

なお、兄弟関数として、COUNTIF関数がありますが、こちらは条件が1つの時しか使えません。
このCOUNTIF関数は覚える必要はありません。使う必要もありません。
理由は、単一条件でも、COUNTIFS関数が使えるからです。
詳細は別記事で説明します。

COUNTIFS関数を入れてみる

集計表にCOUNTIFS関数を入れてみます。
D4「旅館・ホテル」の下のD5セルに =count と入れると(小文字でOK)、関数の候補が出ます。↓ で「COUNTIFS」を選んで、Tabで決定します(Enterではないので注意)。
*私は、直接「=countifs( 」と打ち込んでいます。候補が多いと、見つけるのが面倒なので。

Tabで決定すると、以下の通りとなります。

「(」の後には、まず「検索条件範囲」を入れます。
「検索条件範囲」とは、後で設定する条件に合うデータがいくつあるかを調べる範囲ということです。
「DATA」シートのタブをクリックして、同シートに移動し、H列「営業の種類」を選択します(「H」の部分をクリックします。)。
行番号を入れる必要はありません。↓↓↓

数式バーを見ると、H列が指定されていることが分かります。
列のみの指定で、行番号は指定されていません。

そうしたら、「集計」シートに戻ります。
D5セルには以下のように入っているはずです。

「集計」シートに戻ったので、計算式に 集計!が入っています。
「!」はシート名とセル番号を区切る記号です。
「!」の前がシート名になります。
同一シート内なら、シート名は削除可能ですが、
とりあえずこのままにしておきます。

続いて、「旅館・ホテル」と入っているD4セルをクリックします。

D4セルを選択(クリック)すると、計算式にD4と入ります。

後は、Enter を押します(最後の「)」は自動で入ります。)。
これで、「DATA」シートのH列内に、いくつ「旅館・ホテル」というデータがあるか、その数が出ます。
この例では、792件あることが分かります。↓↓↓

D5セルの計算式は、上の関数バーに出ています。
同じものをD5の下に表示してみました。

このD5が、どのセルを参照しているか、計算式のトレースで見てみます。

計算式のトレースは
Alt→M(数式)→P(参照元のトレース)で出ます。
Alt→M→A→A(または保存)で消えます。

青矢印により、「旅館・ホテル」が入っているD4セルが計算式に入っている(=参照している)ことが分かります。
左上から斜めに伸びている点線矢印は、「別シートのデータが計算式に入っている(=参照している)」という意味です。ここでは「DATA」シートのH列が入っている(=参照している)のですが、トレースでは、「どのシートのどれ」までは分かりません。

他のセルには計算式をコピーする

同じ計算式を「簡易宿所」「下宿」にも入れます。
「旅館・ホテル」と同じように =count から始めてもいいのですが、それは手間です。
既に出来ている「旅館・ホテル」の計算式「=COUNTIFS(DATA!H:H,集計!D4)」を使い回す(コピーする)方が簡単です。

検索対象の列は絶対参照にしておく

ただし、そのまま横に一つずらすと、計算式内のセルも1つ横にずれてしまいます。そうすると、正しく集計できません。

D5セルを右にコピーすると、
「DATA」シートのH列がI列に、
「集計」シートのD4がE4にずれてしまいます。
「DATA」シートのI列は「指令許可番号」が入っており、
検索対象であるE4の「簡易宿所」はないため、
「0」という結果になっています。

集計する元のデータは、「DATA」シートのH列のままでないといけません。
そのためには、D5セルをコピーする前に、このH列の部分を「絶対参照」にしておきます。「絶対参照」とはコピーしても、元のセルが変わらない、というものです。
やり方は、①セルを選択したらF2をクリック(またはセルをダブルクリック)し、②「H:H」のところへカーソルを持っていき、③F4を押します。
「H:H」が「$H:$H」になれば、絶対参照です。

数式バーを見ると、「=COUNTIFS(DATA!$H:$H,集計!D4)」となっています。

なお、「集計!D4)」は「旅館・ホテル」のセルですが、このセルは、右にずらした際に、「簡易宿所」に変わるように、そのままにしておきます。この「$」が付いていないものを「相対参照」といいます。)
*列と行、それぞれに「$」を付けることができます。F4を押す度に、付き方が変わります。

「DATA!H:H」だったものが、DATA!$H:$H」になっています。

これでコピーの準備ができました。
後は、D5セルを右の二つ(E4とF4)のセルに張り付けます。
普通のコピー(Ctrl+C からの Ctrl+V)でも構いませんが、
D5セルを含んでG5セルまで範囲指定して、Ctrl+Rでもコピーできます。
マウスを握っているのなら、セルの右下に「+」が出たら右にドラッグ、でもコピーできます。

セルを右にドラッグした場合。
D4セルの右下に「+」が出たら右にドラッグします。

これで、それぞれの許可の種類の件数が出ました。

ちょっとごちゃごちゃしちゃいますが、計算式のトレースと、計算式そのものを、セルの下に表示してみます。↓↓↓

3つとも「DATA」シートのH列を検索範囲としていることが分かります。
一方、検索対象は、各セルごと違っています。

合計は Shift + Alt + = のショートカットで一瞬で出す

「許可の種類」別の件数は出ましたが、全体の件数が出ていません。
これを出すには、
3つのセルを単純に+で繋いでいってもいいのですが・・・ ↓↓↓

=を入れた後に、各セルと「+」で繋いでいくと計が出ます。

手入力でSUM関数を入れてもいいのですが・・・ ↓↓↓

=SUM(と入れた後に、合計範囲をドラッグすると合計が出ます。
(最後の「(」は入れなくてもEtnerで自動に入ります。)ると合計が出ます。

セル数が少ない場合は、これらの方法でも、まぁ、いいでしょう。
でも、セル数が多いと、結構面倒。
特に最初の方法だと、セルが抜け落ちるおそれがあります。
このような単純な合計は、ショーカットで簡単に出せます。
Shift + Alt + = です。
Shift + Alt + - でも同じです(Shift+-で=なので)。
やり方は簡単。

合計欄を選択し、↓↓↓

合計セルだけを指定した場合、うまくいかない場合は、
下の方法でやってみてください。

あるいは、合計を出したいセル全部と合計を入れたいセルを範囲指定し、↓↓↓

Shift と Alt と =(または - )を同時に押すだけ。
これで、SUM関数が入ります。↓↓↓

上の状態から、Enterを押すと、下のように確定します。

これで、「営業の種類」別の件数、そして全体の件数が出ました。
なお、表全体を範囲指定して(Ctrl+A)、カンマ入れをしておきます(Alt → H → K または Shift + Ctrl+1)。
*日付等がある場合は、日付部分は範囲指定しないでください。

念のため、「DATA」シートのH列を選択して、「データの個数」を見てみると、「1027」と出ています。
これには、表頭(ヘッダー)も入っているので、実際のデータの件数は「1027」から1を引いた「1026」です。
この「1026」は、集計表の「計」と同じですので、集計が正しく出来ていることが分かります。

H列を選ぶと、データの個数が出ます。

以上で、基本的な集計は(やっと)終了です。
長々と説明してきましたが、実施に集計表を作るには、慣れれば10分かからないでしょう。
この記事の集計だけなら、3分程度でも十分できるでしょう。
とはいえ、急いでやって間違えても意味はないので、慌ててやる必要はありません。操作を間違えたら、Ctrl + Z でやり直せばいいんです。

ただし、一つ気になることが・・・。
最後の部分で、集計表が正しいか、「DATA」シートのH列を範囲指定してデータの個数を見て、集計表の計と合っているか、確認しました。
この作業、データが追加される度(月次/年次等)にやるのは面倒です。
忘れることもあります。

このような都度確認をしなくても、集計表で出したデータが合っているか、常に自動で検算できるようにすることが理想です。
その方法は、次回、説明します。

今回作ったファイルをいかにアップしておきます。ご参考にどうぞ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?