【詩】空っぽの家
庭もベランダもある大きな大きな家が
ひっそりとたっています
突き出た窓は陽の光をたくさん集めて
ラベンダー色のカーテンは重く身じろぎもしない
夜も夜ようやく灯った二部屋
家からしてみれば猫の額ほどの二部屋
朝になって
スーツの男と制服の娘が出ていくと
家は再び静寂に包まれて
庭のオリーブを
時折忘れかけたように
かさり
野良猫が揺らします
大きな大きな家に住みたいと
今までは思っていましたが
大きな大きな家は
それはそれは綺麗に飾られた
空っぽのお墓のような家でした
その家族はからっぽの家に住み続けるために
今日も一日のほとんどを
沢山の人に揉まれて
終える予定のない時間を払い続けています
庭もベランダもある大きな大きな家が
ひっそりとたっています
貴重な時間をいただきありがとうございます。コメントが何よりの励みになります。いただいた時間に恥じぬよう、文章を綴っていきたいと思います。